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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年2月14日 No.3396 「健康寿命延伸プラン」「医療・福祉サービス改革プラン」の策定に向けた検討状況聞く -社会保障委員会医療・介護改革部会

経団連の社会保障委員会医療・介護改革部会(望月篤部会長)は1月25日、厚生労働省の伊原和人大臣官房審議官から、同省が今年夏に策定予定の「健康寿命延伸プラン」「医療・福祉サービス改革プラン」に向けた検討状況について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 2040年にかけての社会保障制度の展望

これまでの社会保障・税一体改革は、消費税率が10%に引き上げられる予定の今年10月で一区切りを迎える。それ以降の改革プランがないため、今後議論を進めていく必要がある。

その時間軸として、2040年までを考えている。考慮すべき要素は、人口構成、給付費、医療福祉分野における就業者数の変化の3つである。

まず、人口構成について、25年から40年の15年間で、65歳以上の高齢者人口の伸びは、それまでの25年間の伸びの約10分の1に鈍化する見込みである。

次に、給付費全体の対名目GDP比の推計値は、約21.5%(18年度)から約24.0%(40年度)に上昇する見通しである。しかし、これ自体は、上述の高齢者人口の伸びの鈍化に伴い、00年以降の伸び率の約3分の1にとどまる。

医療福祉分野における就業者については、40年にかけて全就業者数が減少する見通しのなかで、その約5人に1人にあたる約1065万人が当該分野に就業する見通しとなる。これは、国際競争力の観点から本当に望ましいのか懸念される。仮に健康寿命の延伸と生産性の向上を実現した場合には、医療福祉分野の就業者数を約935万人に抑制できる可能性がある。

■ 誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて

こうした見通しのなかで厚労省では、今年6月を目途に健康寿命の延伸、そして医療・福祉サービス改革に関するプランを策定する予定である。

1つ目の柱は、健康寿命の延伸であり、3つの効果を見込んでいる。1つ目は制度の支え手と保険料収入の増加、2つ目は就業に伴う健康の保持による医療・介護需要の減少、3つ目は労働投入増による潜在成長率の押し上げである。

政策には2つのアプローチが考えられる。1番目は、健康無関心層も含めて、自然に健康になることができる環境づくりである。2番目は、人々の行動変容を促す施策である。これらのアプローチのもとで、例えば医療機関と保険者・民間事業者等の連携による生活習慣病の予防事業の展開等を考えている。

2つ目の柱は、医療・福祉サービス改革を通じた生産性の向上である。施策には4分野があり、ロボット、AI、ICT等の実用化の推進、データヘルス改革が最有力な施策である。このほかには、組織マネジメント改革、タスクシフティングを担う人材の育成、経営の大規模化・協働化が挙げられる。

■ 給付と負担の見直しに関する国民的な議論が必要

給付と負担面の見直しに関しては、税制とも密接に関連することに加えて、国民生活にも影響を与えるものである。今後、社会保障制度の持続可能性確保の観点から、給付と負担の見直しを含めた改革の展望について国民的な議論を行うことが求められる。

【経済政策本部】

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