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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年2月28日 No.3398 ハイダー・カナダビジネス評議会会長との懇談会開催 -カナダ委員会

ハイダー会長

経団連のカナダ委員会(佐藤洋二委員長、植木義晴委員長)は2月12日、東京・大手町の経団連会館で、カナダビジネス評議会(BCC)のゴルディ・ハイダー会長から、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)や、昨年11月に署名されたUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に関するカナダ経済界の期待や課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日加経済関係

日本はカナダにとって4番目の貿易相手国であり、アジア圏に限定すれば、2番目の貿易相手国である。また、相互の投資も両国経済関係には重要であり、現在日本はカナダにとって6番目の投資元国となっている。近年日本からの留学生や観光客が増加しており、毎年2万人以上の留学生を受け入れている。

日本とカナダは、エネルギー分野において、さらなる関係強化が必要だと考えている。現在、カナダは日本にとって18番目のエネルギー資源供給国であり、カナダからのエネルギー資源輸入量は、日本の需要全体の1%程度にとどまっている。先般LNGカナダプロジェクトが承認され、18の輸出施設の建設が計画されており、日本企業も参加している。同プロジェクトによるLNG輸出効果は年間2億1600万トンと見込まれており、カナダのエネルギー資源輸出に大きく貢献すると期待している。

■ USMCA

昨年11月30日に署名されたUSMCAについて、いくつか日本企業も留意しておくべき点がある。自動車分野における原産地規則については、これまでより高い割合で北米エリアから原材料を調達することが義務づけられたため、日本の自動車関係企業も注意が必要だ。知的財産に関しては、カナダは米国に譲歩し、米国の制度改定に沿ったかたちで規制を見直すことに合意したが、これは、CPTPPにおいて合意された水準を上回るものである。今後予定される日米貿易交渉において、米国が日本にも同様の譲歩を求めてくる可能性が高いため、慎重に対応すべきである。

さらに、米国が非市場経済国とする国々との、自由貿易協定に関する交渉も制限される。そうした国々との協定交渉の開始について、事前に通告された他のUSMCA加盟国がその交渉を認めない場合は、6カ月以内にUSMCAを廃止し、二国間協定締結について合意することができることになる。すでに中国と貿易協定について交渉中であったカナダにとっては痛手であり、米国に依存しない経済体制の構築を目指し、貿易多様化を推進している現政権の政策にも大きな影響を与えている。

■ カナダの優位性

米国政府の税制改正等により、外国企業に対する投資先としてのカナダの優位性が低下したとの指摘もあるが、カナダは、企業が保有する施設の減価償却に基づき税額を控除するCCA(Capital Cost Allowance、資本コスト控除)という制度を設ける等、企業誘致を目的とした取り組みを強化している。また、豊富な天然資源だけでなく、高い能力を有するカナダの労働力は、外国企業にとっては大変魅力的であり、すでに多くの外国企業が、人的資本確保を目的に進出している。

BCCは経団連との連携をさらに強化し、日加経済関係発展に貢献していきたいと考えている。

【国際経済本部】

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