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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2019年3月14日 No.3400 企業主導の規制改革のあり方について聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は2月15日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催した。森・濱田松本法律事務所の増島雅和パートナー弁護士から、技術革新に対応した企業主導の規制改革のあり方について講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ ダイナミック・コンプライアンスの重要性

最新のテクノロジーやビジネスモデルを有する企業の新規参入により、市場構造が一変する「破壊的イノベーション」が生じている。伝統的企業が競争力を維持するためには、イノベーションの創出が不可欠だが、従来型のコンプライアンスの発想、すなわち、法務部門を中心に、固定された規範への適合性を高める活動が阻害要因となっている。

米国西海岸等のスタートアップでは、規範は流動的であり、社会の潜在ニーズに応じた製品・サービスを提供するうえで必要であれば、その変更が自社のミッションとなる。法務部門は、テクノロジー等を活用したビジネスを展開して多くの顧客から支持を得ることで、民主的に規範を変更する「ダイナミック・コンプライアンス」を実践している。

現状を踏まえると、伝統的企業においては、事業活動を通じて解決できるSDGs(持続可能な開発目標)課題を設定し、障害となる規制の改革を自社の社会的責任ととらえ、能動的に行動する活動をコンプライアンスと認識する必要がある。

■ 規制のサンドボックス制度の意義

昨年6月に導入された「規制のサンドボックス制度」は、イノベーションを促進する行政判断を可能とする仕組みである。行政の現場は、規範の継続性や公平性を重視し、状況変化にリスクベースで動的に対応する知識・経験を持ち合わせておらず、企業の試行錯誤を後押しする判断が困難な構造となっている。その結果、規制改革を促すには海外事例の提示が中心となり、実際に規制改革が進むと満を持して海外企業が参入する構図がある。

こうした状況を打開するため、サンドボックス制度では、法適用の不確実性リスクを規制官庁が転嫁できる仕組みを採用した。具体的には、企業の実証計画を主務大臣(事業所管大臣と規制所管大臣)が認定する際、内閣府の「革新的事業活動評価委員会」が意見を述べることや、内閣総理大臣を通じた勧告を行うことができるようにしている。

■ オープン・イノベーション創出に向けた取り組み

わが国が直面するさまざまな課題を解決するうえで、伝統的企業とスタートアップが協業する「オープン・イノベーション」が有効なアプローチだが、コンプライアンスリスクを嫌う伝統的企業の法務部門や、柔軟な法解釈に伴うリスクを回避したい規制当局の存在により、総論賛成・各論反対の状況が生じている。そこで、森・濱田松本法律事務所は、「MHM LAB」を設立し、法律の専門家の立場から、規制当局の法解釈や伝統的企業の法務リスク管理を支援している。こうした取り組みを通じて、サンドボックス制度の活用事例を増加させ、オープン・イノベーションの創出につなげていきたい。

【産業政策本部】

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