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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年4月11日 No.3404 中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は4月8日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は社会保障制度に関し、デジタルトランスフォーメーションにしっかりと対応し、社会保障のサステナビリティーを確保するための政策を求めていくとして現在、提言の取りまとめを進めていると紹介。政府は社会保障制度の方向性について議論中であり、提言を公表するにはよいタイミングだと述べた。

米中貿易摩擦の行方については、客観的に見通すのは困難になりつつあるとしたうえで、経営者としては、どのような情勢変化にも対処できるよう複数の方策を議論しておくことが課題だと述べた。一方、中国は自らを自由貿易の旗手であると位置づけ、先般のB20東京サミットでも、アジア諸国を中心に味方を増やし、日本とも協力したいとの姿勢を示していたと分析。このような状況のもと、日本としてどのような戦略を立てるべきか、真剣に考える必要があるとして、経団連は政府と情報共有しながら、経済活動に大きな支障がないよう戦略構築に取り組んでいくと述べた。

電力政策については、かねてより危機感を強烈に持っており、会長就任以来、精力的に検討を進め、ようやく本日、経済界の意見を集約した提言「日本を支える電力システムを再構築する」を公表するに至ったと説明。

これからの電力を考えるうえでは、技術的側面だけでなく、経済や法律といった社会的側面も踏まえ、政府、経済界、アカデミアを含め、国民的な議論を行っていく必要があると指摘。投資にお金が回り、技術開発が進み、新たな産業が興って経済成長へとつながる仕組みを組み立てていかなければならないとした。

2030年以降のエネルギーミックスについても、さまざまな技術的選択肢はあるが、一つの結論を示すことはできず、解決策は何通りもあり、経済界だけ、政府だけで決められるものではないと指摘。これは一昨年から昨年にかけて政府のエネルギー情勢懇談会で議論した際の結論でもあり、国民各層とともに解決策を考えていく必要があるとの認識を示した。

そのうえで、化石燃料が永遠に使い続けられるものでないことは明らかであり、再生可能エネルギーや原子力など、化石燃料以外のエネルギーの選択肢を確保することが重要と強調。原子力については、政府、電力会社、設備メーカーなど関係者が一体となって、社会的信頼を醸成していく必要があるとの認識を示した。

また、日本の電力が直面している課題を放置すれば、昨年9月の北海道でのブラックアウト(大規模停電)のような事態が全国で起こる可能性も排除できないとしたうえで、あれほどの事象を経験したなかでも電力に対する危機感が日本全体で共有されていないことに懸念を表明。広く危機感の共有を図り、解決に向けた議論を行っていきたいとの意向を示した。

【広報本部】

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