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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月16日 No.3407 コンテンツ保護政策について聞く -産業競争力強化委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会

経団連は4月15日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)を開催。経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課の高木美香課長から「日本のコンテンツビジネス戦略」について、モーション・ピクチャー・アソシエーション・インターナショナル(MPA-I)のマイケル・シュレシンジャーバイスプレジデントから「オンライン上の著作権侵害への対処」について、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本のコンテンツビジネス戦略(高木氏)

国内市場の成長が鈍化するなか、アジアを中心とした海外市場への進出がわが国コンテンツ産業の課題。経産省では、東京国際映画祭等のコンテンツ発信の土俵づくりや、見本市への出展等を通じたマッチング、海外プロモーション支援のための補助金制度(J-LOD補助金)による海外展開支援に加え、働き方改革を踏まえた健全な制作環境整備等にも取り組んでいる。

また、海賊版対策については、最も重要な著作権教育や正規版の流通促進をはじめ、総合的に取り組んでいる。例えば、政府が予算を措置するCODA(コンテンツ海外流通促進機構)では、国内外の海賊版サイトに対する自動監視、削除要請を行っており、要請に応じないサイトへの対策としてブラックリストを作成している。インターネット広告は、媒体側と広告主側のリストを照合し、条件に合ったものが自動的に配信されている。CODAが作成するブラックリストを広告業界団体と共有することで、海賊版サイトへの広告出稿抑制を促している。

■ オンライン上の著作権侵害への対処(シュレシンジャー氏)

各国における経済や雇用に対するコンテンツ産業の貢献は大きく、オンライン上の著作権侵害に対処していくことは重要な命題である。オンラインの海賊行為による被害状況にはさまざまな見方があり、一様に推し量ることはできないが、例えばテレビ・映画業界では合法なコンテンツとして消費されるべきものの30~40%が海賊版サイトで代替されているといった試算もある。

海賊版対策にはさまざまな手法があるが、侵害行為を行っていると特定・実証された海賊版サイトをリスト化したIWL(インフリンジ・ウェブサイト・リスト)の活用等、侵害サイトの広告収入を断つ取り組みが特に重要との認識が各国において強まっている。IWLは、その合法性、必要性、相応性、期待できる効果の4つの観点から、現在12の国や地域で採用、検討されている。

もう一つ重要なのは、侵害コンテンツへのアクセスを誘導するリンクサイト(リーチサイト)対策とサイトブロッキングである。リンクサイトは現状の日本の著作権法では著作権侵害行為を行っていると認定できないため、その法的責任については日本政府でも確認中である。また、違法にコンテンツを配信するサイトは、サーバーが海外に置かれているケースがあるなど、対処は容易ではない。IWL同様、その合法性等が前提ではあるが、これらの違法サイトへのアクセスの大幅な削減と合法的コンテンツへのアクセス増加を促すサイトブロッキングは、2019年3月現在で世界45カ国が導入または実施を義務づけられているベストプラクティスである。

【産業政策本部】

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