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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月30日 No.3409 中東・アフリカ地域駐在大使との懇談会を開催

経団連は5月16日、東京・大手町の経団連会館で、杉森務中東・北アフリカ地域委員長、石飛修同委員長、佐藤雅之日本アルジェリア経済委員長、長坂勝雄サブサハラ地域委員長らが出席し、外務省幹部ならびに中東・アフリカ諸国駐在の大使との懇談会を開催した。

冒頭、岡浩外務省中東アフリカ局長は、中東地域共通の課題の一つとして若年層への雇用機会提供を挙げ、日本は強みを活かし、教育分野で協力することが求められているとした。一方で、地域における関係国の利害が複雑化しているなか、わが国は対話のファシリテーターとしての役割を果たしたいと述べた。

また、牛尾滋外務省アフリカ部長は、TICAD7(8月、横浜)の最重要テーマは「ビジネス」であるとした。3月の「TICAD7官民円卓会議民間からの提言書」で指摘されている、成長基盤としてのインフラ整備や人材育成等を通じてアフリカの成長を後押しするとの考えを示した。今後は、新設するアフリカビジネス協議会で議論し、多様なツールを用いオールジャパンでアフリカ進出企業を支援していきたいと述べた。

続いて6名の大使から、現地情勢等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 小川和也駐アルジェリア大使

大規模デモにより、約20年政権を担ったブーテフリカ大統領は辞任し、国は歴史の転換点を迎えている。国民は選挙制度を含めた改革を求めており、7月4日の大統領選の実施は不透明である。より自由で開かれた市場経済への移行を期待しつつ、引き続き情勢を注視していく。二国間関係では交渉中の投資協定を進めたい。

■ 齊藤貢駐イラン大使

米国の対イラン制裁が強化されるなか、不測の事態に注意が必要である。エネルギー資源大国イランは、さまざまな手段で制裁に対抗し、経済は持ちこたえるとの予測もある。

日イラン関係では経済が最重要だが、制裁もあり、民間の活動は停滞するだろう。その間、日本政府が要人往来の強化やODAの活用等に積極的に取り組む。

■ 宮島昭夫駐トルコ大使

3月の地方選挙では、主要6都市で野党が勝利したが、国政には影響しないだろう。最近のトルコ経済は高いインフレ率やリラ相場の下落に直面し、厳しい状況にある。EUはトルコの貿易額の50%を占め、また、英独等から多くの企業がトルコに進出しており、Brexitの影響を注視していく。日トルコ間では、EPA交渉の大筋合意の早期実現を目指す。

政治面では、ロシア製ミサイルの購入をめぐり、米国との緊張が高まっており、しばらくは目が離せない。

■ 上村司駐サウジアラビア大使

サウジアラビアにはイスラム教の二大聖地が存在することから、世界16億人の信者にとって特別の意味を持つ唯一の国であることを強調したい。

ムハンマド皇太子の改革は、同国の従来の統治のあり方を一変させ、若者や女性をはじめ国民の支持を得ている。改革では、製造業の育成、素早い意思決定、コスト削減を重視しており、今後は「ビジョン2030」を支える日サ閣僚会議等を通じ、ビジネスの展開や知日派の育成が重要になる。

■ 菊田豊駐ナイジェリア大使

ナイジェリアは資源大国であり、日本企業は天然ガス分野で存在感を示している。二期目のブハリ政権は安定し、経済の新たな動きもみられ、南西部のラゴスではIT関連のスタートアップ企業が活躍する。これらを踏まえ、日本企業の一層の取り組みが期待され、国内はもとより、ナイジェリアビジネスに熱心なインド企業等との連携の可能性もあるだろう。

■ 志水史雄駐AU代表部大使

アフリカ連合(AU)は、TICAD7の共催者であり、近年伝統的な安全保障に加え、経済社会分野で役割を果たしている。「アジェンダ2063」に基づき、域内人口・GDPともに巨大なアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の創設にも取り組んでいる。日本としては質の高いインフラ整備や産業人材育成等への期待に応え、支援を行っていきたい。

【国際協力本部】

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