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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月17日 No.3427 中小企業のデジタル化の現状と課題について聞く -サプライチェーン委員会

経団連のサプライチェーン委員会(立石文雄委員長)は10月1日、都内で会合を開催し、「政府の中小企業デジタル化支援策の現状と課題」をテーマに、中小企業庁技術・経営革新課の吉野潤課長、経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課の鴨田浩明企画官から説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 吉野課長説明

近年、大企業の労働生産性は着実に改善しているが、中小企業では横ばいのままである。問題の解決に向け、IT化に一定の設備投資が必要と考えるが、中小企業の場合、生産性の向上に資する前向きな投資にまで手が回っていないのが現状。近年では、比較的安価なクラウドサービスを導入するケースも増えているが、費用対効果が明確でなかったり、社内で使いこなせる人材がいないといったリテラシーの問題が存在する。

こうしたなか、中小企業庁ではITツールの導入を支援する機関の認定や、用途に応じて使い分けが可能な補助金の手当てなどにより、一体的な支援を行っている。しかしながら、補助金事業に関しては、300万社を超える中小企業への効果は限定的であると認識している。

サプライチェーンの効率化には、EDI(電子データ交換)を介した商流のデータ連携が必要である。企業や業種によってはある程度データ連携が進んでいるが、複数企業や業種から受注する中小企業では「多画面問題」が負担となっている。

そこで解決策の一つとして、企業・業種固有のEDIを共通の「辞書」で紐づけし、中小企業の受発注対応を一つのフォーマットで可能にする「中小企業共通EDI」を整備した。実証事業では、共通EDIの活用により工数が半減するなどの成果を上げている。さらには、全銀EDI(ZEDI)とのパッケージ導入により、従来手作業で行っていた売掛金の消込作業が自動でできるようになるなど、金流の効率化が見込まれる。発注側(大企業)に対しては、受注企業へのEDI導入の働きかけ、および自社の調達システムと共通辞書との紐づけをお願いしたい。

今後、政府としても大企業と中小企業間の連携を進めるべく、次年度概算要求において大企業が主導するかたちでのサプライチェーン効率化を支援する枠組みを検討している。

■ 鴨田企画官説明

中小企業のIT化が課題である一方、すでにITを導入している場合であってもセキュリティ対策が不十分なケースが特に中小企業では多い。しかしながら、自社のセキュリティ対策は十分であると判断している中小企業も一定程度あり、実態との間に乖離が生じている。

攻撃者は、サプライチェーンのなかでより脆弱な部分を狙って共有されている情報を得ようとしている。経済産業省としては、企業のセキュリティポリシー作成のガイドラインを作成するほか、専門家の派遣などにより中小企業サイバーセキュリティの底上げを図っている。すべての中小企業に手当てすることは困難であるため、効果的な対策が打てるような中小企業を選定し、継続性のある支援を行いたい。

【産業政策本部】

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