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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月17日 No.3427 農研機構から「農業データ連携基盤(WAGRI)」について聞く -農業活性化委員会企画部会

経団連は10月1日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会企画部会(井伊基之部会長)を開催し、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業情報研究センターの本島邦明センター長から、2019年4月から本格稼働している「農業データ連携基盤(WAGRI)」の運用状況ならびに今後の展望等について聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

◇◇◇

「農業データ連携基盤(WAGRI)」は、内閣府での戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「次世代農林水産業創造技術」において開発され、民間や官公庁から無償・有償で提供された農業関連データを集約・統合したプラットフォームである。今年4月から本格稼働しており、農業ICTベンダーや農機メーカー等が、WAGRIを通じて気象や農地、地図情報等のデータ・システムを活用した新たなサービスを農業者に提供することで、農業現場における生産性の飛躍的向上や高品質な農産物の安定生産等につなげることを目指している。

WAGRIの主な構造・仕組みは、まず、民間や官公庁等がデータ・システムを提供し、農機メーカー、ベンダー等の利用者はWAGRIを通じてJSON形式でデータを取得する。そのうえで、利用者が取得したデータを活用してサービスを開発し、農業者等に提供するという「B to B to C」の仕組みをとっている。データ提供利用の場合は月5万円、データ提供の場合は月3万円の利用料を支払い、有償データの使用にはさらにデータ提供機関との個別契約を締結することとなっている。

また、利用者に安心して活用してもらうため、情報セキュリティに関するシステム面での対応やルール(規約・契約書等)の整備を進めている。具体的には、個人のデータは、WAGRI運営事業者も確認できない領域に安全に格納することとしているほか、データ提供者がどのデータを誰に公開するか自由に設定できることとしている。

今後は、WAGRIの機能を生産(川上)から販売・輸出(川下)まで拡張させることにより、川上から川下までの一貫したデータ連携である「スマートフードチェーン」の構築を検討している。具体的には、温湿度等環境管理システムや品質管理・トレーサビリティシステム等により流通最適化を図るほか、鮮度と品質に関する新たな非破壊計測技術等を適用することで、流通中の食品ロスの削減を実現したいと考えている。

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続く懇談では、出席者から、「WAGRIユーザーの拡大による利用料の低下を期待したい」「掲載データ、とりわけ官公庁の保有するデータを一層公開してほしい」といった意見が出された。これらに対し、本島氏は、「WAGRI運営主体等に助言・提言等を行う『WAGRI協議会』の場での活発な意見交換を期待している。WAGRIのさらなる発展を経済界から後押ししてほしい」と回答した。

【産業政策本部】

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