Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月31日 No.3429  ハンフリーズ・アイルランド・ビジネス・企業・イノベーション相との懇談会を開催

ハンフリーズ大臣(左から3人目)、ポール・カヴァナ大使
(同2人目)、越智副会長(同4人目)、佐藤委員長

経団連のヨーロッパ地域委員会(越智仁委員長、佐藤義雄委員長)は10月16日、東京・大手町の経団連会館で、アイルランドのヘザー・ハンフリーズ・ビジネス・企業・イノベーション大臣との懇談会を開催した。ハンフリーズ大臣の発言は次のとおり。

■ アイルランド経済の強み

アイルランド経済は好調である。GDP成長率は、2018年にプラス8%、19年の成長予測はプラス5.5%と着実な上昇を続けており、今年は07年以来、初めて財政収支が黒字に転じた。こうした強靱な経済の背景には、海外直接投資を引き付けるアイルランドの魅力がある。実際、多くのグローバル企業が投資を行っている。日本に関して言えば、直近5年間で企業からの投資件数は倍増し、いまやアイルランドにとって日本は、アジア太平洋地域における最大の投資元である。

投資先としてのアイルランドの魅力は以下の3点に集約できる。

第一に、若い労働力の存在である。EU加盟国のなかで最も平均年齢の低い国の一つであり、35歳以下の人口は約50%を占める。

第2に、EUおよびEU単一市場への強いコミットメントである。1973年のEU加盟により、法律、経済、内政、外交といった、あらゆる面において改善がみられた。国民もこの変化に大きな価値を見いだしており、実際、国民の93%がEU加盟を支持している。

第3に、英国のEU離脱後、アイルランドは、欧州において、英語を話す英国法体系の唯一の国となることである。Brexit後の投資先としての魅力をさらに高めるべく、Future jobs Irelandというプロジェクトを立ち上げ、新たなテクノロジーへの対応や中小企業の生産性向上など、政府として、将来の変化に準備する政策を講じてきた。結果、Brexit後の新拠点としてアイルランドを選択すると明言する企業はすでに80を数え、今後さらに増加するものと期待している。

■ 日アイルランド関係

現在、50以上のアイルランド企業が日本においてビジネスを行っており、150以上の企業が日本市場に輸出している。日本における顧客満足度の高さは、他のアジア諸国でのビジネスの成功を裏付けるものともなり得るため、日本の戦略的重要性は非常に高い。また、Brexitに備え、英国への貿易依存を減らすべく市場の多様化に努めるなか、日本市場の重要性はさらに高まっているといえる。政府としては、東京・四谷にアイルランドハウスを開設予定である。これは、アイルランド建国以来、政府が行う最大級の対外投資であり、二国間関係強化の礎となることを強く期待している。

【国際経済本部】