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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月14日 No.3431 ラグビーを核とした地域活性化の取り組みについて聞く -地域経済活性化委員会

経団連は10月11日、都内で地域経済活性化委員会(古賀信行委員長、小林哲也委員長、浅野邦子委員長)を開催。ラグビーワールドカップ(RWC)を通じた地域振興や復興をテーマに、岩手県釜石市の増田久士スタジアムマネージャーらから、同市におけるRWC開催までの取り組みのほか、同大会が地域経済に与える効果などについて説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ RWC誘致に至る経緯

人口減少が続く釜石市は、活力あるまちづくりを目指し、「オープンシティ戦略」のもと、観光客以上・移住者未満の外部人材「つながり人口」の増加に取り組んでいる。具体的な施策は、まちの特長である鉄・魚・ラグビーを軸に展開している。

ラグビーに関する取り組みは、東日本大震災を契機に進んだ。市民はラグビーの存在を忘れかけていたが、重機を動かせないなかでの復旧作業で、ラグビー選手は貴重な戦力となり、応援の声が戻ってきた。

復興に取り組むなかで、RWCの開催都市への立候補の話も自然と出てきた。スタジアムの建設予定地は、鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地が候補になった。校舎は津波で全壊したが、避難行動を実践した両校の子どもたちは無事だった。まち全体に希望をもたらしたこの事実を世界に語り継いでいきたいと考えた。

誘致活動は、市外からの協力を得ながら、市民活動として進めていった。平尾誠二氏をはじめ著名人を招いたタウンミーティングなどの活動を続け、その後、釜石市も活動に加わり、道路などのアクセス面での環境が整備されることとなった。

開催地の決定にあたっては、RWCを釜石で開催することで復興が完成することを主催者であるワールドラグビーに訴え、理解が得られた。2015年3月の開催地決定以降、鵜住居復興スタジアムの建設資金の確保においては、ラグビーを復興の旗頭とすることへの同意が各方面で得られ、多大な協力が得られた。

18年8月のこけら落としでは、日本代表対フィジーの試合を開催。歌手の平原綾香氏やEXILEのメンバーが地元の学校の子どもたちと一緒に歌やダンスを披露した。手作りだったが、みんなの想いが集結したイベントになった。アクセス面が不安だったが、地元の観光・旅行・バスの事業者が協力して緻密なダイヤを組んだことで、問題は発生しなかった。

■ 鵜住居復興スタジアムの活用

スタジアムの活用については、30代の若手を中心に、清掃活動などをはじめ、SDGs(持続可能な開発目標)にも関連させた活動を展開している。また、同一区には海、山、鉱山があり、それぞれの事業の従事者の協力を得て、参加型アクティビティー「Meetup Kamaishi」をラグビーの試合とあわせて実施している。かきの殻むきなど、漁師の仕事を一緒に体験するだけで楽しいとの反応があり、ラグビーの試合観戦にとどまらない機会を提供している。

このほか、ワインづくりにも取り組んでおり、試合観戦後にワインやビールを楽しめるツアーを企画してもらえればと考えている。

ラグビーに関するイベントについては、これまで誰もやっていないことに取り組む方針で、タグラグビー(注)の国際大会を2年連続で開催している。また、RWCの決勝戦の翌日には、スタジアムをシネマとして活用する企画を実施する。近隣に住居はないので、音の面でも制約がない。

鵜住居復興スタジアムは今後の活用のあり方次第で評価も決まってくる。釜石というキーワードが皆さんの記憶に残っているので、さらに興味を持ってもらえるよう、今大会での運営などをアピールして今後のさまざまな事業へと発展させていきたい。

(注)タグラグビー=タックルの代わりに相手の腰につけた帯状のリボン(タグ)を取ることで前進を止めることができる誰もが安全に楽しめるラグビー

【産業政策本部】

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