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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月28日 No.3433 経産省の飯田産業技術環境局長から環境政策について聞く -環境安全委員会・地球環境部会

わが国は今年、G20議長国として、初のエネルギー・環境大臣会合を開催し、大阪サミットでは、一致して「環境と成長の好循環」を打ち出すとともに、わが国として、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」や「プラスチック資源循環戦略」の策定など、環境政策の諸分野において国際動向を踏まえた対策を進めている。

そこで、経団連の環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長)と同委員会地球環境部会(右田彰雄部会長)は11月6日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、経済産業省の飯田祐二産業技術環境局長から、内外の環境課題をめぐる諸情勢と同省の政策について聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 気候変動

9月の国連気候行動サミットでは、66の国と地域が2050年までの炭素中立化(CO排出をネットゼロとする)にコミットしたが、そのうち、パリ協定に基づき長期低排出発展戦略(長期目標)を国連に提出したのは8カ国(注)にとどまっており、実現の道筋は見えていない。また、途上国では、CO排出量は1990年から2016年までに3倍となり、17年から40年まで化石燃料の需要増が続く見込みである。世界全体での排出削減には、非連続なイノベーションが不可欠であり、「環境と成長の好循環」に向けた具体策として、「革新的環境イノベーション戦略」を年内をめどに策定する予定である。同戦略は、コスト・排出削減目標とロードマップを示した技術のアクションプランを策定し、このアクションプランの実現のための新たな政策取り組みを示すことで、わが国が強みを有する技術の事業化・社会実装を目指すものである。

また、イノベーションと国際的な議論をリードする仕掛けとして、10月にグリーンイノベーション・サミットを開催し、ICEF(Innovation for Cool Earth Forum)やRD20(クリーンエネルギー技術に関するG20各国の国立研究所等のリーダーによる国際会議)では水素やカーボンリサイクル技術等に関し各国の産学官を集めて議論したほか、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)サミットにおいて、金融機関や投資家が環境投資をする際の指針として「グリーン投資ガイダンス」を示した。

■ COP25

12月のCOP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議、スペイン・マドリード)では、市場メカニズムの活用(海外で実現したCO排出削減効果の移転や自国の目標達成に参入する条件など)に関連する実施ルール等の合意が目指されている。ダブルカウント防止のための調整の是非など各国の立場が異なる面があり、わが国政府として、筋の通った結果が得られるよう交渉をリードしていく。

■ 資源循環・プラスチックごみ問題

世界の持続可能な経済発展に向けては、循環型の産業・社会への転換が必要である。とりわけ、世界的に関心の高まるプラスチックごみに関しては、わが国は今年5月にプラスチック資源循環戦略を策定し、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための重点戦略とマイルストーンを提示した。プラスチックの利用合理化の第一歩として、来年7月1日(予定)からプラスチック製買い物袋の有料化義務化を行うほか、日本版循環経済の実現に向けて、さまざまな施策を実施・検討していく。

◇◇◇

飯田局長との意見交換終了後、「経団連低炭素社会実行計画2019年度フォローアップ結果総括編(速報版)(案)」の審議が行われ了承されるとともに、「経団連生物多様性宣言等」のフォローアップに関し、協力を呼びかけた。

(注)イギリス、フランス、ドイツ、ポルトガル、メキシコ、フィジー、マーシャル諸島、ベナン

【環境エネルギー本部】

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