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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月5日 No.3434 経団連訪欧ミッションがバルト三国を訪問 -日本企業との貿易・投資の促進やイノベーション分野の協力を期待

経団連は11月10日から16日にかけて、越智仁副会長・ヨーロッパ地域委員長と佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長を共同団長として、16社32名で構成されるミッションをバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に派遣した。

各国の政府要人および経済界からは、日本企業との貿易・投資の促進やイノベーション分野における協力の推進に向けた期待が示された。また各国とも、隣国ロシアとの経済関係を重視する一方で、安全保障上EUとの関係を強化しているという共通点があった。概要は次のとおり。

■ エストニア

訪問先=ケルスティ・カリユライド大統領、ユリ・ラタス首相、ライネル・サクス外務次官、シーム・シクト経済通信省次官補、マルグス・ノールマー国家情報システム庁長官、カイ・レアロ・エストニア経営者連盟会長ほか

カリユライド大統領(最前列中央)(エストニア)

エストニアは、世界最先端の電子政府を構築している。納税、選挙、起業、銀行の送金など行政と民間のサービスの両方を電子的に行うことができ、国民の98%が電子身分証明書(デジタルIDカード)を保有している。

カリユライド大統領は、エストニアでは外国人でも電子政府のシステムを利用できる電子居住権を導入し、海外からオンラインで法人を設立して企業がビジネスを展開できると説明した。ラタス首相は、日本のインフラ輸出の経験に学び、第三国に電子政府のシステムを構築したいとして、協力を求めた。

また経済界は、日EU EPA(経済連携協定)を活用して、対日輸出額の半数を占める木材・木製品の輸出促進を求めた。

■ ラトビア

訪問先=クリシュヤーニス・カリンシュ首相、ラルフス・ネミロ経済大臣、ユリス・プーツェ環境保護・地域開発大臣、ターリス・リンカイツ運輸大臣、アンドリス・テイクマニス大統領府長官、アンドリス・オゾルス・ラトビア投資開発公社長官、アイヴァ・ヴィークサナ・ラトビア経営者連盟副会長ほか

カリンシュ首相(中央)と越智副会長(左)、佐藤委員長
(ラトビア)

ラトビアには、バルト三国最大のリガ港があり、隣接する自由経済区域では税制上の優遇措置が提供されている。カリンシュ首相は、日本企業が物流の拠点として、リガ港を活用することへの期待を示した。

また、同国では産学官がデータを活用してイノベーションを促進する「Data Driven Nation」というICT戦略を策定し、スタートアップの振興も図っている。ミッション一行は、人工知能、ロボット、ドローン、自動運転などの先端技術を開発しているICT関連のスタートアップとのネットワーキングを行った。

経済界は、日EU EPAにより日本とEUの貿易額が増加していることを評価し、ラトビアから日本に対して木材や食品の輸出が増えることへの期待を示した。

■ リトアニア

訪問先=ギターナス・ナウセーダ大統領、アルギルダス・ストンチャイティス首相府次官、ジギマンタス・バイチュウナス・エネルギー大臣、ヤロスラフ・ナルケビッチ運輸通信大臣、マリウス・ユルギラス中央銀行理事、ロベルタス・ダルギス・リトアニア産業連盟会長

ナウセーダ大統領(中央)と越智副会長(右)、佐藤委員長(リトアニア)

リトアニアは、地理的に欧州の中心地にあり、EUのプロジェクトとしてエネルギーや運輸・物流のインフラ整備を進めている。

ナウセーダ大統領は、エネルギー安全保障が最重要課題であり、エネルギー供給の大半をロシアに依存する状況から脱却することを目指していると発言した。そのうえで、2025年までにロシアとの電力網を切断しEUの電力網と同期化するプロジェクトへの参加を呼びかけた。日本企業と技術協力に関する調査を行い、来年9月には蓄電の入札プロセスが開始する予定である。

また、バルト三国を南北に縦断する高速鉄道「レール・バルティカ」やバルト海に面するクライペダ港の拡張計画についても、日本企業との協力に対する期待が示された。

【国際経済本部】

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