Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月12日 No.3435  第56回四国地域経済懇談会を高知で開催 -「ともに創造する未来~『Society 5.0』と『四国創生』」を基本テーマに

経団連と四国経済連合会(四経連、佐伯勇人会長)は12月2日、高知市内で第56回四国地域経済懇談会を開催した。経団連から古賀信行審議員会議長はじめ副会長らが、四経連から佐伯会長はじめ会員約140名が参加。「ともに創造する未来~『Society 5.0』と『四国創生』」を基本テーマに懇談した。

懇談会前の昼食懇談会では、高知大学の櫻井克年学長から、地域と大学との協働によりスーパー・リージョナル・ユニバーシティーを目指す同大学の取り組みについて説明を聞き、四経連首脳を交えて意見交換を行った。

経済懇談会の開会あいさつで四経連の佐伯会長は、「Society 5.0」という新たな社会への変革の渦中にあり、これにどう向き合っていくかが課題としたうえで、地域の歴史や伝統、固有の強みにいま一度思いを至らせ、そこにデジタル技術、ノウハウを融合させることで、地方の特性を活かした社会づくりに努めていくことが肝要だと述べた。

続いてあいさつした経団連の古賀審議員会議長は、Society 5.0は地方創生を進めるうえでも重要なカギとしたうえで、イノベーションと人々の多様な発想の融合により、人口減少・少子高齢化といった課題の解決はもちろん、地域の強みである産業のさらなる成長、地域を支える人材の育成といった面でも、大きな可能性が開けたと応答。Society 5.0を通じた地方のさらなる活性化に向け、一層の連携を呼びかけた。

■ 地域を牽引する新たな成長産業の創出

「地域を牽引する新たな成長産業の創出」をテーマとする懇談では、産学官連携の推進や大学発ベンチャーの育成支援、デジタル技術の社会実装等に関する四経連からの問題提起に対し、経団連から、(1)地域の課題解決に向けては、地域、大学、企業の連携・協働が重要。産学官が協働するプラットフォームを構築できれば、Society 5.0実現のフロントランナーとして発展できるチャンスは拡大(渡邉光一郎副会長)(2)地域の多様なステークホルダーに関するデータやネットワークを持つ地域金融機関のスタートアップ支援能力を一層高めることが重要(片野坂真哉副会長)(3)Society 5.0を実証から社会実装フェーズに着実に移行するには、社会課題の解決に向けた具体的な事例をそれぞれの課題ごとの時間軸に応じて積み重ねていくことが重要(山西健一郎副会長)(4)IoT等を通じて収集したデータを分析し、社会課題の解決や新しい価値創造につなげることは非常に重要であり、Society 5.0実現を推進するカギ(篠原弘道副会長)(5)働き方改革は社員の働きがいを醸成し、企業ひいてはその産業の魅力を高めるとともに、生産性を向上させ、イノベーションを生み出すことにつながる(進藤孝生副会長)――との発言があった。

■ 交流人口の拡大とインフラ整備促進

「交流人口の拡大とインフラ整備促進」をテーマとする懇談では、インバウンドをはじめとする観光振興、高速交通インフラの整備や国土強靱化等に関する四経連からの問題提起に対し、経団連から、(1)観光振興を通じた地方創生を図るには、地域の多様な観光資源を磨き上げ、その価値を広く発信することが不可欠。わが国有数の文化遺産「四国遍路」が持つポテンシャルは大きい(小林健副会長)(2)オリンピック・パラリンピック等経済界協議会では、四国をはじめ各地で企業・企業人の輪をさらに広げ、来年の大会を盛り上げていきたい(早川茂副会長)(3)デジタル技術の活用を含め長期的かつ計画的なインフラ整備など、さらなる災害対策の必要性を訴えていく。高速道路や新幹線の整備も、交通インフラの強靱化の観点から極めて重要(山内隆司副会長)(4)地域経済の変革によりわが国経済の持続的な成長につなげるには、地域の中核的な産業の育成はもちろん、その土台となる行政システムを地域が独自の経営を行える制度へと改革することが必要(隅修三副会長)――との発言があった。

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技研製作所(高知市)で説明を受ける一行

翌3日、一行は四経連の佐伯会長らとともに、高知市の技研製作所を訪問。北村精男社長の案内のもと工場などを視察し、圧入原理を駆使した同社の機械・工法開発等について説明を聞いた。

【総務本部】