Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月12日 No.3435  日・トルコEPAに関する懇談会を開催 -ユルマズ=バトゥル副大臣から交渉の現状や課題等聞く/日本トルコ経済委員会

ユルマズ=バトゥル・トルコ副大臣

日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉が最終局面を迎えるなか、トルコ貿易省のゴンジャ・ユルマズ=バトゥル副大臣一行が来日した。この機会をとらえ、経団連の日本トルコ経済委員会(山西健一郎委員長、斎藤保委員長)は11月27日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催し、同副大臣から、二国間経済関係や日・トルコEPA交渉の現状・課題等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 二国間経済関係の展望

2018年の日・トルコ間の貿易高は46億ドルに上り、近年上昇傾向にある。他方、トルコの対日輸出額は日本の対トルコ輸出額の約8分の1にすぎず、貿易不均衡が著しい。よりバランスの取れた持続可能な二国間貿易関係を築いていくためには、トルコから日本への輸出品目の構成を多角化することも重要である。

日本企業はトルコに進出してすでに50年以上の実績がある。今日、248社もの日本企業がトルコに投資し、02年以降の対トルコ投資額は累積29億ドルに達した。そのうち、20億ドルは最近6年間に投下された資本であるが、日本が世界で行っている年間1500億ドル以上という対外直接投資額に鑑みれば、大きな額とはいえない。換言すれば、トルコへの投資のポテンシャルは大きく、さらなるプロジェクト投資への窓が開かれているといえよう。

■ EPA交渉の現状

14年12月以降、これまで政府間で計17回のEPA交渉会合を積み重ねてきたが、両国の経済規模の違いや貿易不均衡に十分配慮し、物品貿易の自由化は段階的に行うべきである。その一方で、トルコはすでに鉱工業品・農林水産品双方の自由化に関して高水準のオファーを行っていることにも留意してほしい。

■ EPA交渉の課題と今後の展望

EPA交渉において、いくつか重要な論点が残されている。トルコは常にEPAを両国がともに裨益すべきものとみなしており、鉱工業品と農林水産品を切り離すことはない。しかし、鉱工業品と農林水産品の市場アクセスについて、両国政府間のリクエスト・アンド・オファーには依然として隔たりがあり、今後の協議を通じて埋めるべく取り組みたい。

また、原産地規則についてもすでに発効済みの日EU EPAと整合性の取れた仕組みとする必要がある。今後、集中的に交渉を行い、来年の早い時期に朗報を伝えられればと思う。

EPAを実際に活用し、推進役となる経団連には、日本政府とできる限り緊密に協力してほしい。両国政府は、ともにトルコでビジネスを展開する日本企業が活動しやすい環境を整備すべく努力していく。

【国際経済本部】