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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月19日 No.3436 地域・中小企業におけるIT・IoT等の活用と航空機産業の現状について聞く -サプライチェーン委員会企画部会

経団連のサプライチェーン委員会企画部会(藪重洋部会長)は11月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、日本商工会議所の小松靖直情報化推進部長から「地域・中小企業におけるIT・IoTの活用」について、日本航空宇宙工業会(SJAC)の平上雄一調査部長から「日本の航空機産業の現状」について、それぞれ説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 日本商工会議所説明

中小企業におけるIT・IoT等の導入においては、導入費用の高さや推進する人材・知識不足など多くの課題が存在する。それぞれの課題に対し、政府は事例集の作成や専門家の派遣等、各種対策を講じているが、IT導入の「発火点」には至っていない。また、いわゆる「2025年の崖」もあり、対応は急務。一つのカギはEDI(電子データ交換)システムの普及であるが、現状、紙ベースで受発注を行う中小企業に対してそのメリットを訴求するためには、企業単体ではなくサプライチェーン全体での導入が必要であり、利用者にとってわかりやすいアプローチが必要である。

コスト面等からクラウドの活用が期待されるが、近年、単機能型のクラウドサービスが乱立しており、中小企業がこれらのなかから必要なものを選定し、組み合わせて活用することは容易ではない。また、クラウド化にあたって課題の洗い出しやシステムの比較検討といった、導入前に必要だが目に見えない作業に対応できる人材がいない。そのため、例えば「富山の薬売り」のように、標準となるサービスの策定とその普及策および地域内で日常的に支援できる体制づくりが不可欠である。

■ SJAC説明

経済成長に伴う交流の増加、LCC等による航空機利用のハードル低下などを背景に、世界の航空旅客需要は今後20年間でおよそ2.3倍に増加する見込み。これを背景に、米ボーイングと欧エアバスの2大メーカーを中心として、エンジン・機体による燃費とともに、機内レイアウト等による運用性を向上させたジェット旅客機の開発・製造が活発化すると予想される。

わが国の航空機産業は、品質・納期の点で高い評価を受ける一方、コスト競争力が課題となっている。そのため完成機事業、国際共同開発事業、装備品事業のそれぞれでシェアを高め、国際共同開発事業のパートナーとしての地位を今後とも確保していくことが重要だ。

拡大する航空機需要を取り込むべく、わが国では40以上の産業クラスターが結成され、海外への独自進出や最新設備の積極的な導入などに取り組んでいる。三菱スペースジェットの製造にも寄与する「松阪クラスター」(航空機部品生産協同組合)では、生産管理システムの整備やクラスター内でのEDIシステムの構築により、一層の生産性向上を図っている。また、SJACは、経済産業省の委託を受けてクラスター向けのポータルサイトを整備し、外部への情報発信やクラスター間連携を促進するほか、生産管理体制強化や認証取得に向けた外部専門家の派遣、政府等と連携した海外展開支援などに取り組んでいる。

【産業政策本部】

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