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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月19日 No.3436 Good Agricultural Practice(GAP)の役割とその活用について聞く -農業活性化委員会企画部会

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会企画部会(井伊基之部会長)を開催し、GAP総合研究所の武田泰明専務理事から、「Good Agricultural Practice」(GAP、農業生産工程管理)の導入効果ならびに取得状況、活用促進への取り組み等について聞いた。説明の概要は次のとおり。

◇◇◇

GAPは、FAO(国連食糧農業機関)において「経済的、社会的、環境的な持続可能性に配慮したうえで、安全で健康的な食品や農産物を生産するために、圃場と収穫後の工程で適用される一連の原則・指針」と定義され、農業現場の食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉の課題等の解決策として期待されている。

日本で使われているGAPは、日本の農業界と流通業界が作成した「JGAP」、JGAPにGFSI(世界食品安全イニシアティブ)の要求を追加した「ASIAGAP」、欧州の流通小売り大手が主導で策定した「GLOBALG.A.P」等があり、それぞれ残留農薬検査、水質検査、適切な物流・加工管理等の項目がある。いずれのGAP認証も、ブランド、プラスアルファの価値というよりむしろ、どの農産物においても共通で実現・実践すべき生産工程管理と理解すべきである。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会での「持続可能性に配慮した調達コード」における食材調達基準にも設定されている。また、大手総合スーパーなど流通事業者においても、生産者にGAP認証取得を求めるところが増えてきている。

GAPは、生産側にとっては持続可能な農業を実現する手法である一方、消費者やバイヤー等の需要側にとっては仕入れ先の信頼性を評価する基準として位置づけられる。農林水産省の調査(17年度)によれば、GAPの消費者の認知度は5.4%であり、その向上に向け、商品へのマーク付与、消費者向けの雑誌特集などさまざまな取り組みが展開されている。私も、GAP認証食材を利用したビュッフェレストラン「グランイート銀座」を経営しているが、来店したお客さまに20秒ほどでGAPを簡単に紹介するなど、身近に感じてもらえる工夫をしている。

現在、世界中には多種多様なGAPが存在する。GFSIが各GAPにおける認証スキームのベンチマークを提供し始めたことで、世界的な統一基準を設ける機運が高まってきている。こうした動向を踏まえて、農水省においても、21年から30年までに日本発のGAP認証がアジアで主流の仕組みとなることを目標に、GAP導入支援の補助を充実させることとしている。

【産業政策本部】

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