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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月1日 No.3437 第8回日本ウクライナ経済合同会議を開催 -ウクライナとの経済関係の拡大・深化に向けて

左からカチカ次官、牧原経済産業副大臣、尾身外務大臣政務官、朝田部会長

欧州連合(EU)とロシアの間という地政学的な要衝に位置するウクライナは、農業や鉱工業の高いポテンシャルと相まって、重要な地域大国である。昨年5月に就任したヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領は一連の構造改革を実施し、一定の評価を得ているが、日本との経済関係では、近年、製造業分野への日本企業の直接投資がほとんどみられないのが現状である。

そこで、経団連のウクライナ部会(朝田照男部会長)は、タラス・カチカ経済発展・貿易・農業省次官がミッションを率いて来日した機会をとらえ、12月16日、都内で「第8回日本ウクライナ経済合同会議」を開催した。2017年5月のキエフ以来、2年半ぶりの開催となった同会議では、牧原秀樹経済産業副大臣と尾身朝子外務大臣政務官を来賓に迎え、日本から約50名、ウクライナから20名余りが参加し、ウクライナの構造改革やビジネス環境等を把握するとともに、有望な産業分野における協力の可能性について活発な議論を行った。概要は次のとおり。

■ 構造改革やビジネス環境の最新状況

まず第1セッションでは、ウクライナ側から、現在進行中の構造改革やマクロ経済政策運営、最新のビジネス環境等について説明が行われた。19年10月にウクライナ最高会議が承認した「2024年までの政府行動計画」では、「40%の経済成長」等の野心的な目標を掲げ、汚職対策や国営企業の民営化などの構造改革が進められている。こうした取り組みが評価され、最新の世界銀行ビジネス環境ランキングでは、前年の71位から64位へと順位を上げている。経団連側は一連の改革を歓迎する一方、国際機関の支援のもと、ビジネス環境のさらなる改善を要望した。

■ 有望な産業分野における二国間協力

続く第2セッションでは、各産業分野における二国間協力の可能性について議論が行われた。

農業分野では、ウクライナ側から穀物やオーガニック食品等の日本市場開拓に関心が示された一方、経団連側からは老朽化した灌漑システムの改修等を要望した。インフラ分野では、PPP(官民パートナーシップ)の対象となっているさまざまなプロジェクトが紹介され、日本企業の参画が促された。また、エネルギーに関しては、水力発電やチェルノブイリでの再生可能エネルギーなど、各種プロジェクトについて共通理解を深めた。近年、ウクライナで成長著しいデジタル分野では、「Society 5.0 for SDGs」を通じた両国の協力可能性等についても議論が行われた。

■ 主な成果と今後の取り組み

今次会議では、両国間の貿易・投資にかかる課題や有望な産業分野について、ウクライナ政府高官と建設的な議論を行うとともにビジネス環境上の問題を直接提起した。

また、同会議のメモランダムでは、日本企業が直面する課題や改善要望に対するウクライナ政府の取り組みを整理したマトリクスを随時更新することで、ウクライナ政府の取り組みを「見える化」し、PDCAサイクルを継続していくことに合意した。

経団連では、「二国間貿易・投資の拡大とビジネス環境の改善」という好循環を創出すべく、引き続き最大限の取り組みを進めていく。

【国際経済本部】

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