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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月23日 No.3439 第9回日EU・ICT戦略ワークショップを開催 -DFFT実現に向けた日EUの政策協調を議論

総務省と欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG CONNECT)は、政府間の「日EU・ICT政策対話」の開催にあわせて、2015年から、官民での「日EU・ICT戦略ワークショップ」を定期的に開催し、デジタル経済における重要課題について意見交換を行ってきた。

第9回となる今回は、12月11日に都内で開催され、経団連の浦川伸一デジタルエコノミー推進委員会企画部会長、総務省の山田真貴子総務審議官、DG CONNECTのジェラルド・デ・グラーフF局長ら日EUの産業界や政府関係者が多数参加した。

官民会合では、「AI」「トラストサービス」「Digital Policies(インターネットガバナンス等)」「サイバーセキュリティ」「5G・自動運転」「標準化」「データエコノミー」の7つのテーマについて意見交換が行われた。

■ 「データエコノミー」における議論

「データエコノミー」については、わが国が進めるDFFT(Data Free Flow with Trust)に向けた日EUの国際的な政策協調に向けて、活発な議論が行われた。まず、経団連、個人情報保護委員会から、日米欧の広域データ流通圏を構築するために、EUに対して以下のような提案を行った。

  • 既存の二国間の枠組みを活用して、日米欧のデータ流通を促進させることが必要である。EUから日本を経由して米国に個人データを再移転する際、移転先米国企業がプライバシーシールド(注1)を取得していれば、移転元日本企業に対する補完的ルール(注2)の適用を不要とすべきである
  • APECのCBPRシステム(注3)と欧州のGDPR(一般データ保護規則)とのグローバルな相互認証のスキームを構築してほしい

これに対しブルーノ・ジェンカレッリ欧州委員会司法総局国際データ流通・保護課長は「日本が提唱したDFFTについてEUは歓迎し、支持している」「既存の枠組みを活用した日米欧のデータ流通促進の提案は、米国を説得できればすぐに実行可能だ。DFFTを実現するための日米欧の連携をこの議論から始めたい」「CBPRとGDPRの相互認証については、両者が全く異なる仕組みであることを踏まえる必要がある」と応じた。

また、デ・グラーフF局長から「これまでEUは、プライバシー保護に力点を置きすぎていた。あらためてデータの自由な流通も非常に重要であると認識した」との発言があった。

◇◇◇

経団連はDFFTの実現に向け、引き続き日米欧の国際的な政策協調に向けた働きかけを行う。

(注1)プライバシーシールド=2016年8月にスタートした、EU市民の個人情報をEUの個人情報保護ルールに則ったかたちで合法的に米国に移転するための規定

(注2)補完的ルール=EU域内から十分性認定により移転を受けた個人データの取り扱いに関して、個人情報保護法およびガイドラインに加えて、最低限遵守すべき規律

(注3)CBPR(Cross-Border Privacy Rules)システム=APEC域内における個人データ越境移転を円滑にする仕組み。日本は2014年4月に参加

【産業技術本部】

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