Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年5月28日 No.3454  COVID-19をめぐりBIACと意見交換 -OECD諮問委員会

経団連のOECD諮問委員会(稲垣精二委員長)は5月19日、経済協力開発機構(OECD)の公的諮問機関であるBIAC(Business at OECD)のパリ本部とオンライン会議を開催し、ラッセル・ミルズ事務局長はじめBIAC幹部と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について意見交換を行った。

OECDがパンデミックへの対応と同時に、環境に配慮した包摂的な経済回復を提唱するなか、経団連は、BIACを通じて、貿易・投資やデジタル等の分野について具体的な政策提言を行っている。

BIACの説明の概要は次のとおり。

■ 貿易

OECDはCOVID-19の拡大に伴い各国が講じる貿易制限措置に警鐘を鳴らしつつ、世界貿易機関(WTO)やG7/G20等に各種知見を提供するなど連携を強化している。

こうしたなか、BIACではOECDに対する緊急提言として、(1)透明性の確保(2)グローバルなサプライチェーンの途絶に関する分析(3)国際協力の強化――等を求めている。今後も、医薬品等にかかる貿易障壁を特定・抽出したうえで、治療薬・ワクチン等の製造・流通に必要な人の移動の制限緩和等を働きかけていく。

■ 投資

OECD調査によれば、2020年の世界の対外直接投資は前年比で3割以上低下する見通しである。OECDは「国際投資及び多国籍企業に関する宣言」や「投資のための政策枠組み」(注1)、投資・国家安全保障にかかる指針等のもと、自由・無差別で透明性が高く、開かれた投資政策を奨励している。

経済回復と雇用創出という観点から、BIACは、国際協力やデータ分析、OECD指針等の実施を通じて開かれた市場を守り、投資にかかる制限的措置を監視するよう求めていく。

■ デジタル化

COVID-19を受けて、デジタルトランスフォーメーションが不可避的に加速している。デジタル化は短期的な課題解決策とともに、ポスト・コロナの「新常態」に向けた回復の足がかりを提供する有効なツールとなる。

OECDは「AI政策に関する観測塔」(注2)を活用し、プライバシーやガバナンス、セキュリティー等の課題について検討を進めている。

コロナ禍に乗じたサイバー攻撃が激増するなか、BIACとしては、分野横断的なアプローチのもと、質・連結性が高く安全なデジタル・インフラへの投資を働きかけていく。

■ ヘルス

COVID-19との闘いに求められる技術革新は「コスト」ではなく、グローバルな公共財への「投資」である。第二波に備えるうえで、人口の7割が検査・追跡を受けられる体制を整えることが安全網の目安となる。

BIACは、安全で効果的な健康製品が手頃に入手できるよう、承認手続きの迅速化等を求めていく。

(注1)経済成長と持続可能な開発を支える民間投資を促進するため、各国の投資環境・政策を評価し、投資政策の策定・実施を支援するツール。2006年5月採択。15年6月改定

(注2)OECDが今年2月に設立したAIに関する各国の取り組みについてタイムリーな情報共有を進めるためのオンラインプラットフォーム

【国際経済本部】