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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年7月16日 No.3461 提言「Society 5.0時代のヘルスケアⅡ」公表

経団連は7月14日、提言「Society 5.0時代のヘルスケアⅡ~DXによるCOVID-19対応とその先の未来」を公表した。同提言は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機に進みつつあるヘルスケアDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを加速するためのアクションを示している。提言のポイントは次のとおり。

■ Society 5.0時代のヘルスケアと現状

2018年3月に公表した提言「Society 5.0時代のヘルスケア」の実現は、健康寿命の延伸や医療費の適正化、医療の成長産業化に貢献する。

同提言で示したコンセプトは、政府とも共有しているが、その実現に必要な、個人がデータを管理して活用する仕組みは十分に整備されていない。COVID-19は、日本の保健医療システムの課題を浮き彫りにした。

■ 実現に必要な3つのアクション

感染拡大を防ぎつつCOVID-19と共生する「withコロナの時代」とCOVID-19収束後の「postコロナの時代」を見据え、次の3つの取り組みが必要となる。

第一に、個人起点のヘルスケアのDXを進めることである。そのためには、個人が自分のライフコースデータにアクセスし活用する仕組みを整備し、個人を起点にした健康管理、疾病予防、未病対策、治療の推進がカギとなる。

withコロナの時代においては、DXの進展に伴い、医療データや健診データを活用し、COVID-19の重症化リスクを低減する行動の提案を受けられるようになる。

また、postコロナの時代を迎えたときには、さまざまなデータをつなげ、個人が自分の健康を「デザイン」できるようになると期待される。

こうした新たなサービスを個人が享受できるようにするためには、予防・未病対応に活用される非医療アプリやデジタル療法を行う医療アプリの開発推進も必要となる。

第二に、医療介護提供体制のDXを促進することである。それには、医療従事者によるデジタル技術の活用を加速し、関係機関のデジタル化を進め、持続可能な医療介護提供体制を構築することが求められる。

withコロナの現在、オンライン診療は医療機関の1割程度の導入率にとどまっているが、その普及が急務である。

postコロナを展望し、初診を含むオンライン診療の恒久化によって、その時々の患者の状況に応じ、医師が診療の手段を選択できるようにすべきである。

第三に、DXに向けた関係法制度の整備が必要である。withコロナの時期にあっては、無症状の感染者が自由に出歩くことで感染拡大をもたらす事例も発生している。パンデミック時の公衆衛生確保と個人情報保護のあり方の検討が喫緊の課題となっている。

postコロナにおいては、個人のライフコースデータをつなぐIDを整備するとともに、つないで活用できるようにデータの標準化が不可欠である。データ活用に向けた法制度を整備すべきである。

各主体がすべきこと

withコロナを乗り越え、postコロナとなったときにSociety 5.0時代のヘルスケアを実現するためには、ヘルスケアにかかるすべての主体が「いつまでに何をすべきか」を意識しながら連携することが重要である。

【産業技術本部】

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