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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月27日 No.3465 2020年度宇宙開発利用推進委員会総会を開催 -竹本宇宙政策担当大臣が産業界への期待を表明

竹本大臣(中央)、松尾事務局長(右)
と柵山委員長(左)

経団連(中西宏明会長)は7月29日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(柵山正樹委員長)の2020年度総会を開催した。19年度の活動や決算、20年度の活動計画や予算を報告するとともに役員の改選を承認した。また、来賓の竹本直一内閣府特命担当大臣(宇宙政策)があいさつするとともに、政府が6月30日に閣議決定した新たな宇宙基本計画について松尾剛彦内閣府宇宙開発戦略推進事務局長が講演した。概要は次のとおり。

■ 竹本大臣あいさつ

今次宇宙基本計画では、宇宙活動には官民が力を合わせる「官民共創」が不可欠であると指摘している。産業界には、3つの点を期待したい。

第1は宇宙産業の競争力強化である。政府衛星については、基幹ロケットを優先的に使用する。産官学が連携して衛星を開発するため、政府が構築する「衛星開発・実証プラットフォーム」へ企業に参加してほしい。

第2は海外市場の開拓である。現在、宇宙開発利用を強化している国が多く、7月20日にはわが国のロケットでアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機を打ち上げた。産業界の積極的な取り組みに期待したい。

第3は宇宙利用の拡大である。コロナ後の社会で、デジタル化やリモート化の基盤として宇宙は一層重要になる。

産業界とともに、宇宙基本計画が掲げる「自立した宇宙利用大国」を実現したい。宇宙は安全保障の要であるとともに、日本の成長を牽引し得る分野である。宇宙関係予算を拡大し、コロナ後の日本が生きる道を見いだしたい。

■ 松尾事務局長講演

宇宙基本計画では、宇宙政策の5つの目標ごとに具体的な取り組みを記載している。

第1は宇宙安全保障の確保である。23年めどの準天頂衛星システムの7機体制確立や防衛通信衛星、情報収集衛星等の整備を推進していく。

第2は災害対策・国土強靱化や地球規模課題への貢献である。気象衛星、温室効果ガス観測技術衛星、地球観測衛星を活用するとともに、準天頂衛星や情報収集衛星も災害対策に活用する。

第3は宇宙科学・探査による知の創造である。米国の月探査計画(アルテミス計画)に政府を挙げて参画する。

第4は経済成長とイノベーションの実現である。衛星データの利用拡大、民間調達の拡大、海外市場の開拓等により、宇宙産業の規模を現状の約1.2兆円から30年代早期に倍増を目指す。

第5に、これらを支える産業・科学技術基盤の強化である。基幹ロケットの開発や省庁横断、産官学連携での衛星開発・実証等の取り組みを推進していく。

加えて、今年の骨太方針と成長戦略には、衛星データの利用拡大やアルテミス計画への貢献などが記載された。これらも踏まえ、来年度の宇宙関係予算の増額を図りたい。

産業界には3点について期待している。1点目は衛星データの利用拡大である。企業から、具体的なユースケースを提案してほしい。

2点目は戦略的な衛星・ロケット開発と海外市場の獲得である。徹底的な海外市場の調査・分析に基づき、将来市場を視野に入れた取り組みを期待したい。

3点目は他産業との融合である。今後、宇宙分野での研究開発では、AI(人工知能)やロボティクスの活用など、これまでと異なる発想が必要になる。

各国は20~30年後の社会を見据えて投資している。宇宙システムについても、将来の社会のあり方を視野に入れて、そのなかでの宇宙の役割を考え、今から打つ手を考えていく必要がある。

【産業政策本部】

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