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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月27日 No.3465 中国の経済・外交政策とわが国経済安全保障の課題に関する懇談会を開催 -外交委員会企画部会

経団連は7月29日、東京・大手町の経団連会館で外交委員会企画部会(小久保憲一部会長)を開催し、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹から、中国の経済・外交政策およびわが国経済安全保障の課題について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 中国のマクロ経済動向と米中関係

米国にとって中国は、経済力・軍事力両面で近づいている脅威である。しかし、安全保障の専門家は、中国の経済成長を過大にみている。中国経済は2020年代前半まで年5%程度の高成長を維持するも、20年代後半には、都市化のスローダウンや大規模インフラ建設の減少、少子高齢化の加速により、2~3%まで減速することが予想される。このため、中国が覇権を握ることはなく、米中が均衡する多極化状況が続くこととなる。

■ 米中摩擦

米国は中国への圧力を強めているが、米国の中国専門家には、デカップリングは不可能との見方が多い。この点、日本企業も、客観的な情報の収集に高いコストをかける必要がある。米国の情報をワシントンに依存する日本企業やメディアが多いが、ワシントンは特殊な政治都市であり、米国の幅広い意見を代表しているとはいえない。また、米国の諸政策に対する欧米企業の対応の実態を注視することも重要である。

■ 中国市場の持つ意味

19年の中国のGDPは日本の2.8倍であり、巨大な国内市場は魅力である。例えば、年間2千数百万台を販売する中国国内の乗用車市場において、日本車のシェアは過去3年で17%から21%へと高まっていたが、20年の上半期はさらに急伸し、足元は25%に達している。また、所得水準の上昇に伴い中国市場のニーズが高付加価値化、高価格化、多様化していることにより、求められる財・サービスが日本企業の得意分野により近づいている。

■ 米中対立と日本企業

米中の厳しい関係が続く見通しのなか、中国政府は日本企業を信頼しており、日中関係は安定が続くとみられる。また中国各地で外資企業誘致の姿勢が積極化しており、日米欧企業の多くが中国での投資拡大を計画している。今年初めに米中摩擦のなかで施行された外商投資法により、知的財産の保護や外資企業の海外送金が保障されるなど、リスクは軽減される方向にある。

こうした状況を踏まえて事業継続計画を考えれば、中国で販売する製品のサプライチェーンは中国国内に集中させるのが安全との見方が増えている。

【国際経済本部】

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