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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月10日 No.3467 最新のロシア情勢をめぐり外務省および経産省と懇談 -日本ロシア経済委員会

経団連の日本ロシア経済委員会(國分文也委員長)は7月31日、東京・大手町の経団連会館で外務省の宇山秀樹欧州局長、経済産業省の広瀬直通商政策局長との懇談会を開催した。両局長の説明の概要は次のとおり。

■ ロシアの内政・外交(外務省)

ロシアでは、7月、改正憲法が発効し、プーチン大統領は最長で2036年まで大統領職を務めることが可能になった。また、新憲法には、領土の割譲禁止や議会の権限強化なども盛り込まれた。

外交では、露米関係は、米大統領選挙へのロシア介入疑惑等により、相互に敵視する状況にあり、トップ同士の電話会談も実施されたが、改善の兆しはみえていない。欧州とは、ウクライナ情勢やシリア情勢をめぐる対立や英国での元ロシア情報機関員襲撃事件等により、関係は悪化している。欧州による対露制裁は維持されているが、安全保障上、経済上の立場の違いにより、各国で対露姿勢に温度差がある。露中関係は、国際条理での共同歩調が顕著であり、軍事面でも協力が深まっている。

日露関係は、新型コロナウイルス感染症で日露間の往来が困難な状況下、5月に安倍首相はプーチン大統領と電話会談を実施し、新型コロナ対策や、平和条約交渉、北方四島の共同経済活動等の日露間協議や協力の推進で一致した。

今年前半に北海道で開催予定だった日露地域交流年の開会式については、新型コロナの状況を踏まえ適切な開催時期を検討している。

■ 新型コロナ下のロシア経済(経産省)

新型コロナは、需要・供給両面から産業・雇用・所得へ大きな打撃を与えた。鉱工業生産、消費とも前年比で大幅なマイナスとなり、失業率も2012年以来の6.2%と高水準である。さらに、原油価格下落により国家財政にも影響している。

新型コロナ危機以前から少子高齢化により潜在成長率が低下していたが、20年の実質成長率は、マイナス6.6%まで落ち込むと予測されている。21年度はプラス成長に転じるが、世界経済の動向にエネルギー輸出が左右されるため、先行きは不透明である。他方、ロシア市場のポテンシャルを評価し、新たにオンライン取引などに取り組む企業もある。

ロシア政府は緊急対策として、子育て家庭への現金給付や企業の融資返済猶予、医療機器等の生産支援等を実施した。現在は、インフラ投資等基盤整備に重点を置いた経済復興計画に移行している。約500の取り組みを盛り込み、約5兆ルーブルを投入する予定としている。

ロシアでは新型コロナを踏まえ、医療、産業多様化、デジタル化のような政策ニーズが顕在化している。これらのポストコロナのニーズシーズを踏まえ日露協力を推進していきたい。

【国際経済本部】

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