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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月10日 No.3467 企業年金制度の当面の対応に向けた検討状況について厚労省から聴く -社会保障委員会年金改革部会

経団連は7月31日、東京・大手町の経団連会館で社会保障委員会年金改革部会(松井明雄部会長)を開催し、厚生労働省年金局の吉田一生企業年金・個人年金課長から、社会保障審議会企業年金・個人年金部会における企業年金制度の当面の対応に関する検討状況について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 2020年度年金制度改正法の内容

5月に成立した改正法では公的年金制度に加えて、企業年金・個人年金の見直しも行った。具体的には確定拠出年金(DC)の加入可能年齢の引き上げ、受給開始時期等の選択肢の拡大等だが22年4月以降に順次施行となっている。

■ 当面の対応に向けた検討事項

企業年金・個人年金のさらなる普及・拡大を目指した論点は、より公平なDC拠出限度額の設定等の当面の対応と、拠出時・給付時の仕組みのあり方等の中期的に議論を重ねるべき事項に大きく分かれる。当面の対応では21年度の税制改正において、(1)確定給付企業年金(DB)を併用する場合の企業型DCの拠出限度額の見直し(2)DB加入者の個人型DC(iDeCo)の拠出限度額の引き上げ(3)第2号被保険者のiDeCo加入時の事業主証明と年1回の現況確認の廃止――の3点の実現を目指し検討している。

(1)については、現在DB・企業型DCの両方を活用する企業で企業型DCの拠出限度額を加入者1人当たり一律月額2.75万円としているものを、今後は月額5.5万円からDBごとの掛金水準を差し引いた額まで拠出できる仕組みに変更したい。現状は約9割のDBにおいて、DBの加入者1人当たりの平均掛金が月額2.75万円を下回り、見直しにより多くのDBで企業型DCの掛金を増やすことが可能となる。一方で、1人当たりの平均掛金が月額2.75万円を超えるDBの場合は企業型DCの拠出可能額が減少するため、税務当局とも調整のうえで経過措置を検討したい。

(2)については、現行月額1.2万円の拠出限度額を2万円に引き上げる。

(3)については、DB・企業型DCを活用する企業から国民年金基金連合会への報告業務の事務負担が大きいため、以前から廃止が要望されており対応を行う。

これらの見直しの際に企業年金の受託機関等でシステム対応が必要となることから、受託機関の意見も聴きながらコストと効率性の両面を念頭に対応策を検討する。

社会保障審議会企業年金・個人年金部会において、同委員からは、今回の見直しが公平な制度の構築につながるという観点で前向きな評価が多くあった。他方、制度改正に伴い事業主や受託機関で実務面等での対応が必要となるため、具体的な改正内容やスケジュールを早期に公表すべきだとの声や、制度改正のマイナスの影響を受ける既存の企業年金への配慮が重要との意見があった。同部会では、今回の制度改正の課題に関し、関係者からのヒアリング等引き続き議論を重ねる予定である。

【経済政策本部】

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