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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月10日 No.3467 資源循環政策について経産省から聴く -環境安全委員会廃棄物・リサイクルワーキング・グループ

今年5月、政府において「循環経済ビジョン2020」が取りまとめられ、わが国の循環経済政策の目指すべき方向性が示されるなど、昨今、資源循環政策をめぐる検討が進められている。そこで、経団連環境安全委員会の廃棄物・リサイクルワーキング・グループ(武井信広座長)は7月29日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、経済産業省の横手広樹産業技術環境局資源循環経済課長から、資源循環政策について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 循環経済への転換の必要性

新興国の成長に伴う国際的な資源需要の増加や、環境配慮要請の高まりなどを背景として、大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済モデルは、早晩立ち行かなくなるおそれがある。あらゆる経済活動において資源投入量・消費量を抑えつつ、付加価値の最大化を図る循環型の経済社会活動(循環経済)を実現し、わが国産業の中長期的な競争力の強化を目指す必要がある。

こうした状況を踏まえ、経済産業省では、今年5月に「循環経済ビジョン2020」を取りまとめた。1999年に策定した「循環経済ビジョン」から約20年ぶりの改訂であり、この間の経済・社会状況の変化を踏まえ、わが国が世界のトップランナーとして推進してきた環境活動としての「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」から、経済活動としての循環経済への転換を掲げたことが大きなポイントである。

「ビジョン2020」では、資源循環社会の実現に向けた取り組みを、国内における廃棄物問題への対応としてではなく、「環境と成長の好循環」につなげる新たなビジネスチャンスととらえ、企業の経営戦略・事業戦略による自主的取り組みの推進を通じ、中長期的にレジリエントな循環システムの構築を目指す方向性を打ち出している。

循環性の高いビジネスモデルへの転換に向けて、動静脈連携による使用済み製品の自主回収ルートの確立や、素材や利用用途に応じた再生材の品質規格や製品側での使用基準の整備などに取り組むことが必要である。また、そうした取り組みが、市場・社会からの適正な評価を受けられるよう、企業と投資家の中長期的な対話を通じてESG投資を呼び込むことが重要である。

■ プラスチック資源循環政策

今後、昨年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」をもとに、プラスチックの資源循環に関する取り組みを加速させていく。その一環として、プラスチックの過剰な使用を抑制する観点から容器包装リサイクル法の省令を改正し、今年7月からレジ袋の有料化を義務化したところである。

また、産業構造審議会と中央環境審議会の合同審議会において、プラスチック資源循環における産業界の先進的な取り組みを円滑に進める環境整備を検討している。さらに、経産省と環境省の合同で、ESG投資をドライバーとして循環経済への転換を図るべく、企業が金融機関との対話に取り組むうえで参照できるガイダンスの策定に向けた検討を進めている。

【環境エネルギー本部】

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