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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月29日 No.3473 ヴァルマ駐日インド大使と懇談 -南アジア地域委員会企画部会

ヴァルマ大使(左)と松木部会長

経団連は10月12日、東京・大手町の経団連会館で南アジア地域委員会企画部会(松木俊哉部会長)を開催し、サンジェイ・クマール・ヴァルマ駐日インド大使からインドにおける新型コロナウイルスの現状、ポストコロナを見据えた経済対策などについて説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 新型コロナウイルスに積極的に対応

インドでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、死亡率を国際比較すると非常に低く、回復率は高い。これは、早期に検査を行い、陽性となった場合に積極的に入院させる措置をとっていることが一因である。

コロナ禍の初期段階において、医療用防護具やマスク等の調達を海外に依存していたため、対策を行ううえで困難に直面した。しかし、今では国内需要を賄うことはもちろん、海外に輸出できるだけの製造能力を有している。もともと、インドは遠隔診療に高い技術と経験を持つ。ワクチンの治験も進められており、医療分野において途上国と先進国との橋渡しをしていきたい。

■ 経済再生に向けた取り組みを推進

感染者数は多いものの、国民は新型コロナウイルスの対策を行いながら社会生活を営むニューノーマルに適応してきている。経済活動の再開に伴い、小売部門は回復しつつあるが、ICTをはじめとするサービス部門の需要回復はこれからである。こうした状況を踏まえ、インド連邦政府ならびに州政府は、(1)企業の資本支援(2)規制改革の推進(3)需要の喚起――の三本柱を中心に、早期の経済再生に向けて取り組んでいる。このうち、需要は急激に落ち込んだものの、インド自動車工業会公表のデータによれば、2020年8月の販売台数が前年同月比14.16%増となるなど、次第に回復しつつある。

■ 経済政策「自立したインド」を展開、ともに裨益する日印関係の構築を

インド政府は、コロナ禍において、中長期を見据えた経済政策のロードマップ「自立したインド」を打ち出した。これは、国内の需要と潜在成長力に基づき、サプライチェーンの中枢になることを目指すものである。短期的な救済策を国民に提供するとともに、ポストパンデミック期での発展を実現していくため、長期的な経済政策を展開しようとしている。具体的な産業として、電力、社会基盤、宇宙など8分野について成長に向けた刺激策を重点的に実施していくこととしている。

また、コロナ禍の経験を踏まえ、相互の協力を通じてサプライチェーンの多角化に取り組んでいくことが重要である。インド政府は自国製造業の新たな拠点とするため、各種インセンティブや税制措置を導入し、ビジネス環境の整備を進めている。

今後、日本企業の有するハードウエアの正確性とインド企業のソフトパワーという強みを組み合わせ、双方が一層強固なwin-winの関係を構築していくことを期待する。

【国際協力本部】

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