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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年11月5日 No.3474 東京一極集中の経緯と自治体間の広域連携の取り組みについて聴く -地域経済活性化委員会企画部会

経団連は10月19日、地域経済活性化委員会企画部会(徳川斉正部会長)をオンラインで開催し、ニッセイ基礎研究所生活研究部の天野馨南子人口動態シニアリサーチャーから「Before/Withコロナ 東京一極集中の本当の姿」、盛岡市市長公室都市戦略室兼国際リニアコライダー推進事務局の中嶋孝樹主幹兼室長から「自治体間の広域連携の取り組み」をテーマにそれぞれ説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■「Before/Withコロナ 東京一極集中の本当の姿」ニッセイ基礎研究所・天野氏

東京都の人口移動の長期推移をみると、(1)東京からの「人口拡散期」(2)東京への「人口集中期」(3)東京での「男女集中格差拡大期」――の3つのステージがある。このうち(3)は2009年から続いており、女性が男性の定着を恒常的に上回る状況(期間計1.3倍)にある。その背景には、14年のまち・ひと・しごと創生法の施行により、地方が主に男性の仕事を拡充したこと、また、16年の女性活躍推進法施行により、都会の大企業を中心に若年女性が活躍できる環境の整備が進んだことが考えられる。

新型コロナウイルスの影響により、20年5月から8月にかけて、東京都は転出超過となったものの、東京における女性が男性を上回る定着状況はむしろ加速している。

新型コロナ前後で共通しているのは、東京一極集中とは20代人口の集中であり、特に20代前半の未婚層がそのメーンとなっていることである。定着した若者から生まれた子は、9割がそのまま東京に住み続けるというデータもある。

他方で、地方は全く逆の動きとなり、20代独身男女、特に女性の定着に弱みがある。子育て世帯誘致などの既婚層への取り組みを進めているが、問題の本質に焦点が当たった施策とはなっていない。

また、東京一極集中が進んだ要因の1つに、地方における自然災害の発生もあげられる。東日本大震災後の福島県、西日本豪雨後の広島県では女性の転出超過数が全国でトップクラスにある。

以上を踏まえ、東京一極集中の解消に向けて3点提言する。第1は防災強化エリアであることを広く世間に周知すること、第2は20代独身女性を誘引する多様な仕事を提供する産業政策を推進すること、第3は女性活躍推進法を努力義務であっても中小企業を対象とすることである。

■「みちのく盛岡広域連携都市圏ビジョンの概要」盛岡市・中嶋氏

盛岡市は、八幡平市、滝沢市、雫石町、葛巻町、岩手町、紫波町、矢巾町の7自治体と共に「みちのく盛岡広域連携都市圏」を形成している。同圏域は、人口減少の急速な進展を食い止めるべく、特に若年層を定着させるために、雇用の創出などに取り組んでいる。具体的には、若年層が高収入や知識・技術を活かせる職場を求めて域外に流出する傾向にあることを踏まえ、新たな事業の創出に向けて、産学官の共同研究による新商品の開発などを進めている。

【産業政策本部】

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