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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月1日 No.3481 経団連企業人政治フォーラム講演会を開催 -阿達内閣総理大臣補佐官が講演

経団連企業人政治フォーラム(大塚陸毅会長)は12月7日、都内で講演会を開催し、内閣総理大臣補佐官の阿達雅志参議院議員から、菅政権の経済・外交政策の展望について聴いた。概要は次のとおり。

新型コロナウイルスの影響が国内外で広がり、世界の経済・外交に深刻な影響を与えるなか、菅内閣は発足して2カ月半が経過し、本格始動している。

菅義偉内閣総理大臣は9月の総裁選において、新型コロナの感染拡大と経済的ダメージへの対応を政治的な空白なく行うこと、安倍政権の政策を継承して改革をさらに進めることを掲げて勝利し、高い内閣支持率を得た。菅内閣の特徴の1つは、目の前の問題解決に取り組む「問題解決型」であることにある。

■ 経済政策

菅内閣は、新型コロナの感染拡大防止と経済の両立という極めて難しい状況のなかで政策運営をしている。一部の業種では、今後、さらに厳しい経営を迫られる可能性があるなか、これまでの資金繰り支援、雇用調整助成金では足りない部分が出てくる。国民の命と暮らしを守るため、今週、経済対策を決定し、第三次補正予算の編成に入る。また、アベノミクスの金融政策と財政政策は継続しつつ、成長戦略については、縦割り行政、既得権、悪しき前例主義を打破して改革を進めるべく、デジタル庁の創設、不妊治療への保険適用、通信料金の値下げを打ち出している。これらはすでに方向性が固まっており、来春には成果を出せるスピード感で取り組んでいる。

そのうえで、菅首相が示した経済成長の柱は、「デジタル」と「グリーン」である。デジタルについては、特別定額給付金の支給の際に、行政における遅れが明らかになり、注目が集まっているeガバメントをSociety 5.0のレベルまで高めるには時間とコストがかかるが、ここでしっかり取り組むことで、将来的には経済界が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)と交差し、日本全体の底力を引き上げることができる。

グリーンについて菅首相は、所信表明演説のなかで、カーボンニュートラルを2050年に達成することを表明した。50年までに「ゼロ」にすると言い切ることで、そのために必要なことをバックキャストで考えてほしいというアプローチである。あわせて、グリーンを通じた社会変革、経済構造改革を目指すことを指摘した。蓄電池や水素などの分野でしっかりと市場をつくることで、民間が設備投資しやすい環境を創出できる。

■ 外交政策

菅首相は、官房長官時代から、外交に関する重要な意思決定にはすべて関与し、米中の駐日大使と交流を重ねるなど、外交を重視してきた。現在、深まる米中対立を背景に、世界で外交の難易度は非常に増している。そうしたなか、菅首相は、トランプ大統領、習近平国家主席に続き、バイデン氏と電話会談し、日米安保の重要性や自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略について認識の一致を確認した。バイデン氏の周辺はかつてのオバマ政権での有力者であり、菅首相とかねて交流があることから、米国とのコミュニケーションは取りやすくなる。今後は、安倍政権・トランプ政権下で重要度が増したオーストラリアとの連携強化、東シナ海で法執行を進める中国に対する認識を、日米間で確認することが重要となる。注意が必要なのは、米中が、感染症や気候変動の分野で協力アジェンダを組むことであり、米国のアプローチを注視しなければならない。今後の外交は、米中関係、国際社会が中国にどのように対応していくかという点を軸に、非常に微妙なかじ取りが必要になる。

【総務本部】

経団連企業人政治フォーラム(Keidanren Political Forum)のご案内

大臣や主要な政治家、有識者を招いた講演会の開催などを通じ、企業人の政治参加意識の高揚と、企業人と政治とのコミュニケーションの促進に務めています。
企業人の声で政治を変えるために、皆さまのご参加をお待ちしております。

◆ 入会のご案内は、ウェブサイトをご参照ください
URL: http://www.bpf.jp/

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