1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年1月7日 No.3482
  5. 第9次水質総量削減の在り方に関する答申の方向性について環境省と意見交換

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月7日 No.3482 第9次水質総量削減の在り方に関する答申の方向性について環境省と意見交換 -環境安全委員会環境管理ワーキング・グループ

経団連の環境安全委員会環境管理ワーキング・グループ(吉住正浩座長)は12月9日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。現在、中央環境審議会水環境部会のもとに設置された総量削減専門委員会において、閉鎖性海域である東京湾・伊勢湾・瀬戸内海(以下、指定水域)の水環境改善に向けた第9次水質総量削減の在り方について検討が進められている。そこで、環境省の行木美弥閉鎖性海域対策室長から、第9次水質総量削減の在り方に関する答申の骨子案作成に向けた考え方について説明を聴くとともに、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 水環境の現状と対策の在り方

8次にわたる水質総量削減において、陸域からの汚濁負荷は着実に削減され、指定水域の全般的な水質改善は進んでいる。一方、湾奥部など、局所的な水質汚濁が依然、問題となっており、赤潮や貧酸素水塊も発生している。また、近年では栄養塩類不足による水産資源への悪影響も懸念されている。

以上の認識に基づき、今後の対策の内容を検討している。現段階の案は以下のとおりである。

東京湾・伊勢湾については、影響が大きい生活排水対策に力点を置きつつ、効率的に汚濁負荷を削減する。大阪湾については、生活排水や工場排水への各種対策を継続しつつ、その他の対策を局所的に講じる。瀬戸内海(大阪湾を除く)については、各種施策の継続実施と、栄養塩類管理等、水域ごとのきめ細やかな水質管理を行う。

これらすべての水域について、藻場・干潟の保全・再生や、地域の実情に応じた取り組みが必要であり、場の特性を考慮した対策が有効と考えている。

■ 今後の課題

第9次水質総量削減の実施にあわせて、今後、関係機関等が連携し、次のような課題に取り組むべきと考えている。まずは、調査研究の推進である。気候変動の知見充実のほか、赤潮・貧酸素水塊発生に関する状況の解明が必要である。また、特に東京湾・伊勢湾は、底質・底生生物のデータが十分でない。

指定水域における全般的な水質は改善されつつあり、今後は水環境の総合的評価の在り方の検討や環境基準の類型指定の見直しをしつつ、指定水域や指定地域の縮小・解除を含め、現状に即した制度への転換を検討していく必要があると考えている。

以上の案をもとに総量削減専門委員会で答申案を取りまとめる予定である。

◇◇◇

意見交換では、経団連側から環境省に対し、経済界が納得感をもって取り組むことができるよう、仮に追加の削減を結論とする場合には、陸域からの汚濁負荷削減による水質改善の効果についての報告書での説明や、一律の指定項目の負荷削減から、水域の実情に応じた水環境全般を改善する方向への転換を改めて求めた。

【環境エネルギー本部】

「2021年1月7日 No.3482」一覧はこちら