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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月14日 No.3483 廃棄物・リサイクル分野の重要施策について聴く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は12月14日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催し、環境省の神谷洋一廃棄物規制課長から「廃棄物処理行政の最新の動向」について、早稲田大学大学院の小野田弘士環境・エネルギー研究科教授から「廃棄物・リサイクル分野におけるIoT導入の意義と今後の展望」について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 環境省・神谷氏

廃棄物規制課は産業廃棄物にかかる適正処理および循環型社会の構築推進のため、制度等の立案・運用を行っている。廃棄物処理法第三条に規定される「排出事業者責任」を踏まえつつ、関係主体との意見交換等を行いながら、制度設計・政策運営の合理性を確保している。直面している3つの課題の最新動向を説明する。

第1は、PCB廃棄物処理である。2001年のPCB特措法成立以来、国が主導し全国5カ所に処理施設を設置し、高濃度PCB廃棄物の処理を進めてきた。大阪事業エリアでの変圧器、コンデンサー等、北九州・大阪・豊田事業エリアでの安定器・汚染物等が21年3月末に処分期間を迎える。期限内処理を徹底してほしい。一方で、特措法制定以降に存在が発覚した低濃度PCB廃棄物についても、期限内処理に向けて実態把握に取り組んでおり、協力をお願いしたい。

第2は、産廃の排出事業者が処理業者に処理を委託する際の情報伝達のあり方の見直しである。廃棄物処理法では、排出事業者に対し、適正処理に必要な情報伝達を義務付けているが、それにもかかわらず情報伝達の不足に起因する不適正な処理による事故等が発生している。危険・有害物質等を含む廃棄物の処理委託に際しては、より具体的な情報伝達を義務付けるべく、現在検討を行っている。実務面・実効性の観点から合理的な制度とすべく、経済界とも意見交換をしながら進めていく。

第3は、不法投棄等に関する支障除去基金への協力についてである。現在、産業界からはマニフェスト頒布団体等が、前年度のマニフェスト頒布枚数等に応じた金額を社会貢献の観点から基金に出えんしているが、環境省の依頼額の満額を出えんしているのは一部の団体にとどまっていることから、早ければ21年度から基金による支援ができなくなる懸念がある。そこで、経団連が参画する検討会を開催し、21年度以降の基金への出えんに関しては、これまでの方針を基本としつつ、マニフェスト頒布団体等以外の産業界にも、国から任意の協力依頼を行う方針となった。経団連会員企業には、基金制度の意義を理解いただき、社会貢献の観点から、基金への出えんをお願いしたい。検討いただける企業・団体各位は、環境省不法投棄原状回復事業対策室(eメール hairi-tekisei@env.go.jp、電話 03-6205-4798)に連絡いただきたい。

■ 早稲田大学・小野田氏

近年、IoTを活用した情報管理の重要性が、廃棄物・リサイクル分野においても高まっている。一例として、活動記録管理によるトレーサビリティシステムがある。これは、廃棄物・資源化物そのものにQRコードで情報を持たせ、個々の作業データをクラウドサーバーに記録し、AI等による自動処理を図る仕組みである。今後は排出事業者・処理業者双方の視点を取り入れつつ、具体化を進める必要がある。

廃棄物処理・リサイクルシステムの検討を行ううえでは、スマートシティ・スーパーシティとの連携強化を模索することも重要である。モジュール型車両を用いたごみ収集の自動化や自動分別を行うスマートごみ箱など、非接触・自動化を前提とした技術開発の重要性が、コロナ禍により一層高まるだろう。

【環境エネルギー本部】

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