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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月18日 No.3488 科学技術・イノベーション基本計画答申素案の基本的な考え方 -覺道内閣府大臣官房審議官が説明

経団連は1月28日、科学技術・イノベーション基本計画に関する懇談会をオンラインで開催し、内閣府大臣官房の覺道崇文審議官から「科学技術・イノベーション基本計画答申素案について」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 基本的な考え方

国家間の覇権争いの先鋭化、気候変動による脅威の現実化、ITプラットフォーマーによる情報独占といった国内外の情勢変化は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により加速している。科学技術・イノベーション政策では、研究力の低下と研究環境の悪化が大きな課題である。昨年6月には、科学技術基本法の改正が行われ、「人文・社会科学の振興」「イノベーションの創出」が法の対象に追加された。

これらを背景に第6期となる次期基本計画では、第5期基本計画で打ち出したSociety 5.0を具体化するべく、「持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」を目指すべき社会像とした。わが国の伝統的価値観を組み込んで世界に発信することで、世界から人材と投資を呼び込むことを目指す。

■ Society 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策

Society 5.0の実現には、社会構造改革、研究力の抜本的強化、新たな社会を支える人材の育成の大きな3つの柱が必要である。社会構造改革に向けて、デジタル庁の発足による政府のデジタル化の推進、カーボンニュートラル実現など循環経済への移行、レジリエントで安全・安心な社会の構築を目指す。また、スタートアップの支援、スマートシティの展開、次期SIPの検討、ムーンショット研究開発制度による社会実装の推進に取り組む。

研究力の強化に向けては、博士学生や若手研究者の支援強化、女性研究者の活躍促進に取り組む。また、研究のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現し、新しい研究の潮流を踏まえた研究システムを構築する。さらに、こうした環境を実現するために10兆円規模の大学ファンドを活用し、大学改革を進めていく。

人材育成では、決まった答えのない課題に立ち向かう「探究力」と「学び続ける姿勢」が重要となる。初等中等教育段階において、STEAM教育など問題発見・課題解決的な学びの充実を図るとともに、社会に出てからも学び続けることができる環境を整備する。

■ 科学技術・イノベーション政策の推進体制の強化

政府研究開発投資は今までGDP比1%が目標だった。しかし、経済情勢の変化もあり、GDP比ではなく絶対額として、前期比プラス4兆円の総額30兆円を、また、官民合わせた研究開発投資は総額120兆円を目指す。

政策立案・推進では、総合知(自然科学と人文・社会科学の融合)やエビデンスの活用により政策を立案し、評価を通じて機動的に改善していく。個別の取り組みの進捗を把握するため、それぞれの施策に達成時期、担当府省庁を明記している。

■ 閣議決定に向けたスケジュール

1月19日の統合イノベーション戦略推進会議において答申素案が了承された。翌20日から2月10日までパブリック・コメントを実施し、その後、所要のプロセスを経て3月中に閣議決定される。

【産業技術本部】

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