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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月14日 No.3517 エネルギー・気候変動政策をめぐる最近の動向 -環境安全委員会、資源・エネルギー対策委員会

経団連は9月27日、環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長、野田由美子委員長)と資源・エネルギー対策委員会(市川秀夫委員長)の合同会合をオンラインで開催した。資源エネルギー庁の山下隆一次長と経済産業省の奈須野太産業技術環境局長から、パブリック・コメントに付されている新たな「エネルギー基本計画案」(基本計画)「地球温暖化対策計画案」(温対計画)および「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略案」(長期戦略)について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 基本計画

基本計画は、(1)福島第一原子力発電所事故後の歩み(2)2050年カーボンニュートラル(CN)実現に向けた対応(3)30年度温室効果ガス46%削減目標の実現に向けた対応――の3つの柱で構成される。

温室効果ガス削減への取り組みを進めるなかにあっても、エネルギー政策の基本がS+3E(安全性+安定供給、経済効率性、環境適合性)であることを引き続き大前提として位置付けた。

CNは、電力部門の脱炭素化、非電力部門における電化、熱需要等の水素等による脱炭素化、残存するCO2の回収が柱となる。世界の構造変化を要する野心的な挑戦であり、非連続なイノベーションの実現がカギを握る。わが国の産業競争力強化につなげるためにも、グリーン成長戦略のもと、グリーンイノベーション基金等を活用し、総力を挙げて取り組む。

30年度46%減に向けて、新たな電源構成案(再生可能エネルギー=36~38%、原子力=20~22%、LNG=20%、石炭=19%、石油等=2%、水素・アンモニア=1%)を提示した。再生可能エネルギーのさらなる導入に向けた政策強化、安全性を最優先とした原子力発電所の再稼働、非効率石炭火力のフェードアウトや脱炭素型火力への置き換えといった施策が欠かせない。また、省エネについては、現行ミックスが想定する省エネ量から2割以上深掘りする必要がある。極めて野心的な目標だが、各省連携のもと、政策対応を進めていく。

■ 温対計画、長期戦略

温対計画では、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)を見据え、中長期の目標達成に向けた施策を整理した。こうしたなか、「低炭素社会実行計画(現カーボンニュートラル行動計画)」をはじめ産業界の自主的取り組みについては、これまでの実績を高く評価したうえで、引き続き産業界における対策の重要な柱と位置付けている。取り組みの一層の強化をお願いしたい。

カーボンプライシングについては、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長に資するものについて躊躇なく取り組むこととしている。JクレジットやJCMの活性化を図るとともに、炭素税やキャップ&トレード型の排出量取引については、課題を踏まえつつ、引き続き、専門的・技術的な議論を進める。

長期戦略は、CNという新たな目標を見据えて改定した。経済と環境の好循環の実現、需要側の変革などを基本的考え方とし、温対計画をはじめ、基本計画、グリーン成長戦略、国土交通グリーンチャレンジ、みどりの食料システム戦略、地域脱炭素ロードマップなどを踏まえ、取り組みを進めていく。

◇◇◇

説明後、パブリック・コメントへの対応として、基本計画温対計画長期戦略に対する委員会の意見を審議した。

【環境エネルギー本部】

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