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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月28日 No.3519 パーパスドリブン経営に求められる組織改革 -第23回リーダーシップ・メンター・プログラムを開催/時田審議員会副議長が講演

経団連は10月11日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、時田隆仁審議員会副議長(富士通社長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第23回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。47名の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換した。講演の要旨は次のとおり。

■ パーパスドリブン経営で重要なこと

価値観が大きく変化する時代において、さまざまなステークホルダーが同じ目的を持ち共感を得る事業体にしなければ、人々は参画してくれない。当社では、これまでの「社員が企業に従属するかたちでの経営」から、「企業が社員のために働く経営」へと転換するため、パーパスドリブン経営に大きくかじを切った。

経営で一番大事なことは正直であることだ。“トラスト(信頼)”がなければ何も進まない。失敗を恐れずに挑戦できる環境が必要である。

社員には「自分のパーパスを削り出せ」と言っている。そのうえで、組織は社員一人ひとりのパーパスにどこまで迫れるのかが課題となる。社員のパーパスは組織のパーパスとは重なり合いながらも完全に一致するものではないと考えている。

■ グローバル人事制度への転換

人事制度は根幹であると考え、当社はジョブ型に転換した。社長に就任した際、マジョリティーであった国内の人事制度を、グローバルの富士通の人事制度に合わせるよう改革した。この大きな改革をわずか1年で実行できたのも、以前から、現場で常に問題意識を持って議論してきたからであり、この現場力が当社の強みである。経営者にとって大切なことは、「実行する」というリーダーシップだ。

■ 組織における意識改革

何事もアジャイルな時代といわれるが、それにはラフなコンセンサスを形成しコミュニケーションを図ることが必要だ。経営陣が自分の考えを社員に伝えようと思っても、上の階層の決定の伝達というかたちだけでは、伝わりきらない。

「マインドを変える必要がある」ということがよく言われるが、それでは解決しない。特に、歴史ある企業は、制度を変えることで、行動やふるまい方が変わり、そこから意識の変化や問題意識が生まれてくる。だからこそ、制度や仕組みを変え、その考え方について、知識を詰め込ませるように制度を伝達することに替えて、タウンホール形式などで直接コミュニケーションをとることが必要だ。新しい制度の考え方を説明し、社員の声をきちんと聴いて、受け止めたものは必ずかなえるようにする。社員には、リテラシーではなく、それぞれの“コンピテンシー”に基づいて理解してもらうことが必要だ。

◇◇◇

講演後、企業の人事制度や意識改革について活発に意見が交わされ、時田副議長から多岐にわたるアドバイスが送られた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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