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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月25日 No.3523 全米各州探訪(10)~ウィスコンシン州、アーカンソー州、ルイジアナ州 -新・ワシントンレポート<10>

本連載では、米国をより深く知るため、広大な米国を構成する50州+1特別区の情報を順次ご紹介します。

28.ウィスコンシン州

1836年にミシガン準州から切り離されたウィスコンシン準州が州の基となった。48年に連邦に加盟した30番目の州である。

19世紀初頭には鉛の採掘が盛んに行われた。鉱夫たちが坑道に寝泊まりする様子にちなんだ「アナグマの州」という愛称が定着している。今日の州経済は、地理的特徴を活かした酪農業、林業、製紙業によって特徴付けられる。

ウィスコンシン州旗には当初の州経済を支えた
船員と鉱夫に加え、アナグマが描かれている

ミシガン湖岸の最大都市ミルウォーキーはハーレーダビッドソン創業の地であり、現在も本社がある。同市は19世紀半ば以来、ビール醸造の街としても知られており、地元の大リーグ野球チーム名もブルワーズ(醸造家)である。

日本企業は80社以上が進出しており、近年増加傾向にある。1970年代から大規模な工場を操業している食品工業をはじめ、各種製造業が立地するほか、バイオテクノロジー等の分野も進出している。

政治面では、南北戦争に先立つ1854年、奴隷制拡大への反対を掲げる共和党の結党の地となった歴史を持つ。

現在は、共和党・民主党の支持が拮抗するスイングステート(接戦州)の一つとして知られる。同州選出のロン・ジョンソン上院議員(共和党)は、来年改選の現職上院議員のうち最も再選が危うい一人といわれている。大統領選においては1988年以来、一度の例外(2016年のトランプ氏)を除き民主党候補が勝利してきたが、00年、04年、20年は得票率1ポイント差未満での辛勝である。

29.アーカンソー州

ミズーリ準州から1819年に切り出されたアーカンソー準州を基礎とする。36年に連邦に加盟した25番目の州。

カンザス(Kansas)州と州名のルーツを同じくするが、こちらは仏語読みで命名されたため発音が異なる。当初は英語読みで「アーカンザス」とも呼ばれたことから、81年、州議会は正しい発音を決議。英語読みは歴史と慣習にそぐわない「思いとどまらせるべき革新(an innovation to be discouraged)」であると位置付けた。

農林水産業が盛んな地域であり、コメ、大豆、綿花、鶏肉、キャットフィッシュ(ナマズ)等を産出している。また、世界最大の売上高を誇る企業・ウォルマートの創業の地であり、本社が置かれている。日本企業は自動車産業や食品産業を中心に約20社が進出し、同州における外国からの投資額および雇用創出数(約6000人)で1位となっている。

かつては民主党を支持していた州であり、ビル・クリントン元大統領の地元でもある。しかし次第に共和党優位へと転じ、2014年には連邦議会全議席、州知事、州議会両院多数派のすべてを共和党が掌握するに至った。特にトム・コットン上院議員は、対中を含め安全保障タカ派の若手共和党旗手の一人である。

30.ルイジアナ州

1812年に連邦に加盟した18番目の州。米国が03年に買収した仏領ルイジアナの南端部分を中心に組成されたオーリンズ準州を前身とする。なお、オーリンズ準州の北にはルイジアナ準州が置かれていたが、ルイジアナ州成立後、混同を避けるためミズーリ準州に改名された。

ミシシッピ川デルタ上に最大都市ニューオーリンズを擁する。同市は特に19世紀前半、メキシコ湾に面する海運の拠点として繁栄した。同時にその立地は水害を被りやすく、なかでも2005年のハリケーン・カトリーナは、翌年の市人口を半減(45万人から21万人)させるほどの影響を及ぼした。

テキサス州、ペンシルベニア州に次いで、全米3位の天然ガス産出州である。原油も産出されており、エネルギー・化学産業を経済の柱としている。日本企業の進出は同産業関係のほか穀物の集荷・輸出業が代表的で、全体で約5300人の雇用を創出している。

政治的には共和党が優勢な州である。大統領選では2000年から一貫して共和党候補を支持している。州知事は民主党が押さえているが、現職のジョン・エドワーズ知事は、銃規制や妊娠中絶に反対する異色の民主党員である。

【米国事務所】

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