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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年12月2日 No.3524 企業人権ベンチマークについて聴く -企業行動・SDGs委員会企画部会・企業行動憲章タスクフォース

経団連は11月15日、企業行動・SDGs委員会企画部会(上脇太部会長)と企業行動憲章タスクフォース(関正雄座長)の合同会合をオンラインで開催した。SDGs(持続可能な開発目標)を推進する国際NGOであるワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)のカミル・ル・ポルス氏から、世界主要企業の人権格付け「企業人権ベンチマーク(CHRB)」の2020年ベンチマークレポートについて、説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ WBAとCHRB

WBAは、SDGs達成に向けて変革を先導する企業の役割を後押しするため、企業の取り組みを測定・比較するベンチマークを開発している。19年に、人権に関するベンチマークを開発しているCHRBを吸収合併し、双方のベンチマークを補完し合う体制を整えた。

WBAでは、世界的に影響力を持つ2000社を7つの項目で評価している。7項目の中核に据えられた「ソーシャル」には、人権や責任ある企業行動等が含まれており、人権方針やデュー・ディリジェンス(DD)、救済策等がその対象である。

CHRBでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や国際労働機関(ILO)の国際労働基準等の国際標準に照らし、正当性が担保されるような方法論で評価している。20年には、人権リスクの高い5つのセクター(自動車、農産物、アパレル、資源採掘、電子機器)を対象に、229社を評価した。

■ CHRB20年レポート

20年に、初めて自動車企業30社を評価対象に含めた。30社のCHRBとWBAの環境ベンチマークの結果を比較すると、人権対応で評価の高い企業は、環境でも良い成果を挙げていることがわかった。他方、人権対応で低い評価の企業では、人権と環境の問題を分離して考えていると推察される。WBAはCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で「公正な移行」について提言を行った。正しくトランジションさせるためには、人権問題と環境問題を一緒に考えることが必要である。

また、評価を行ったすべてのセクターに共通して、多くの企業が人権DDの期待を満たしていないことが判明した。DDは、人権を尊重する経営を行ううえで必須のプロセスである。人権方針やDDを実施していればよいということではなく、人権リスクが高い現場で成果に結び付けなければ意味がない。

意見交換では、CHRBの評価対象となっている企業から、人権DDに関してどの程度詳細に情報開示すべきかと問われたことに対し、「情報が少ないと、精緻に評価できない。例えば、ステークホルダーエンゲージメントの項目では、エンゲージメントの有無のみならず、エンゲージメントの対象とするステークホルダーをどのような方法で選び、どのようにエンゲージメントを進め、自社の取り組みにどのような影響を与えたか、などについて詳細に開示する必要がある」とコメントした。

【SDGs本部】

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