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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月20日 No.3529 「企業行動憲章シンポジウム2021」を開催 -持続可能で強靱なサプライチェーンの構築

パネルディスカッション

経団連は、2017年11月に改定した「企業行動憲章」の趣旨の理解浸透を目的に「企業行動憲章シンポジウム」を毎年開催している。5回目となる今年度は12月17日に東京・大手町の経団連会館で「持続可能で強靱なサプライチェーンの構築」をテーマに開催し、同時にオンライン配信した。

古賀審議員会議長

二宮審議員会副議長

名和氏

冒頭の開会あいさつで古賀信行審議員会議長は、新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでのグローバル資本主義のもとで進行していた経済格差の拡大や社会の分断による民主主義の危機など、社会の本質的な問題が増幅、先鋭化したと説明。「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けて、企業はサステイナブルな資本主義の担い手として、事業活動を通じて、社会課題の解決に積極的に貢献していくことが求められており、そのためにサプライヤーとの連携が重要と述べた。

続いて登壇した二宮雅也審議員会副議長(企業行動・SDGs委員長)は、先般経団連が公表した「企業行動憲章 実行の手引き」の「第4章 人権の尊重」の改訂版、新たに策定した「人権を尊重する経営のためのハンドブック」の双方について説明(1月1日号既報)。国内外のビジネスと人権に関する状況が急激に変化しており、SDGsで目指す「誰一人取り残さない」人間中心の経済社会構築を実現するためにも、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が求める人権デュー・ディリジェンスの実施など、企業における自主的な取り組みを強化すべきだと強調した。

続いて、一橋大学ビジネススクールの名和高司客員教授が「パーパス経営~新SDGsと志本主義経営 30年先の視点から経営を捉える」と題して講演した。名和氏は、パーパスとは「志」であり、企業の「らしさ」であるとしたうえで、カネを中心とする資本主義から、ヒトの志を中心とする“志本主義”の重要性を強調した。企業を変革するためには、志について考え、これまでの課題を内省し、志を従業員に浸透させることが重要だと説明した。

パネルディスカッションでは、三井住友フィナンシャルグループの太田純社長、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長、花王の澤田道隆会長が登壇。各社におけるサステナビリティの実現や持続可能で強靱なサプライチェーン構築のための取り組みについて紹介した。

太田氏

井阪氏

澤田氏

太田氏は、多様なステークホルダーとの連携による価値協創の観点から、SMBCグループのマテリアリティである「環境」「コミュニティ」「次世代」に沿って、サステナビリティに向けた取り組みを説明した。「コミュニティ」に関する取り組みとして、同じ志を持つ企業が集まり、環境・社会課題の解決に向けたアクションの起点となるコミュニティ「GREEN GLOBE Partners」を紹介。従来の金融機関という枠組みにとらわれず、さまざまなステークホルダーと協働しながら、経済的価値・社会的価値を提供していくと述べた。

井阪氏は、新型コロナにより供給が制約されるなか、強靱で持続可能なサプライチェーンを構築するためには、ステークホルダーと協調して、「より効率的・効果的な商流の実現」と「働きやすい労働環境」の構築に取り組むことが重要と述べた。また、セブン&アイが実施しているプライベート製品の製造委託先工場のCSR監査事例を紹介。16分類117項目について工場をチェックし、人権関連を中心に、労働衛生環境、安全管理等を監査し、サプライチェーン全体での人権にかかわる取り組みを推進していると説明した。

澤田氏は、「人中心の輝かしい未来を創造する企業」というパーパスの実現に向けて、事業継続計画(BCP)とグループのESG戦略「Kirei Lifestyle plan(KLP)」の掛け算で取り組みを推進していると説明。調達に関しては、取引先に社会的責任と環境への配慮を求め、遵守する取引先を優先しているとし、特に人権・環境リスクが懸念される調達先では、取引先・NGOと協働して現場と対話することで課題の本質を見極めていると述べた。

【SDGs本部】

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