1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年3月3日 No.3535
  5. 高まる台湾の優位性、日本企業の商機は拡大

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月3日 No.3535 高まる台湾の優位性、日本企業の商機は拡大 -東亜経済人会議日本委員会を開催

田崎氏

経団連は2月10日、東亜経済人会議日本委員会(飯島彰己委員長)をオンラインで開催した。野村総合研究所台湾有限公司の田崎嘉邦董事兼副総経理から、台湾経済の現状と展望、日本企業のビジネス機会について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 国際経済社会における台湾の優位性の高まり

米中対立の激化やデジタル化の加速、また、半導体不足とも相まって、台湾は世界の半導体供給基地として、経済面にとどまらず、安全保障や通商交渉においても、その優位性を高めている。

台湾では、最先端技術を保有するTSMCを中心に、半導体関連分野のサプライチェーンの集積が加速している。半導体の輸出額は2020年の中国ファーウェイ向けの出荷停止以降も、年率25%程度のプラス成長を維持している。加えて、台湾は、データ流通の自由と保護が保障されているため、データセンターやソフトウエア開発拠点等の投資が相次いでおり、ハイテク産業のさらなる発展に向けた土壌が整いつつある。

■ 台湾経済は記録的な高成長を達成

台湾経済はコロナ禍にもかかわらず、半導体産業の好調な輸出と大規模な投資を主な要因として、20年に3%、21年に6%という記録的な高成長を達成した。先進経済圏では稀有な水準であり、台湾が人口減少社会に入っていることに鑑みると特筆すべきものである。順調な発展は、個人所得の増加、民間消費の拡大にも波及し、経済成長の好循環が生まれつつある。

蔡英文政権もこうした動きを政策面、資金面からバックアップしており、台湾経済は、今後もハイテク産業を牽引役に、持続的に成長していくだろう。

■ 日本企業の事業機会とリスク

台湾当局は、半導体、5G、再生可能エネルギー、バイオメディカル等の産業誘致に注力しており、日本企業にも参入機会、ビジネスチャンスが広がっている。また、台湾では「日本」というブランド価値を活かせることから、ショッピングモール、ホテル、小売、飲食等にも事業展開の潜在力がある。

他方、台湾経済の好調要因は、見方を変えると、輸出依存、半導体依存、中国大陸依存ともとらえることができるため、将来のリスク要因にもなり得る。また、日本企業にとって、電力や水、優秀な人材の安定的な確保も課題である。台湾当局も手を打ってはいるが、解決に向けた継続的な取り組みを注視していく必要がある。

【国際協力本部】

「2022年3月3日 No.3535」一覧はこちら