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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月3日 No.3535 春季労使交渉・協議の焦点〈5〉 -育児・介護休業法の改正

春季労使交渉・協議が本格化するなか、6回にわたり同交渉・協議の焦点等を解説する。5回目は、改正育児・介護休業法について、2022年4月1日施行の内容を取り上げる。

※ 当該改正の概要は図表参照

Q 育児休業を取得しやすい雇用環境整備とは、具体的にどのようなことを行うのですか。

A 育児休業を取得する当事者だけでなく、職場全体で取得しやすい環境をつくることが大事との観点で、図表内1《雇用環境整備》で示した①~④のいずれか一つを行うことが定められています。なお、①の研修については、少なくとも管理職全員に受講させることが求められます。④については、例えば社長等経営トップの方針を社内にポスターで掲示するといった手法が考えられます。

2022年4月1日施行の概要

(図表のクリックでPDF版表示)

Q 妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置について、注意すべき点を教えてください。

A 個別の周知・意向確認措置の対象となる労働者は、本人または配偶者が妊娠・出産した旨を口頭等で申し出た者です。同措置は、労働者が希望した日から円滑に育児休業を取得することができるように配慮し、適切な時期に実施することが必要となります。具体的には、妊娠・出産の申し出が出産予定日の1カ月半以上前に行われた場合は出産予定日の1カ月前まで、それ以降に申し出があった場合でも、例えば出産予定日の2週間前以降の申し出や子の出生後に申し出があった場合はできるだけ速やかに措置することとされています。取得を控えさせるようなかたちでの周知や意向確認は認められません。なお、意向確認の措置を行っても、意向を示さない労働者に対して何度も確認する義務はありません。その際、トラブルを回避する観点から、意向確認の事実が証明できるよう記録をしておくことも一考です。また、労働者があらかじめ周知や意向確認は必要ないとの意思を示した場合でも措置する義務は発生します。

Q 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和について教えてください。また、労使協定除外に関する注意点はありますか。

A 現行では、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件と「子が1歳6カ月の間に労働契約が満了することが明らかでないこと」(介護休業の場合は「介護休業開始予定日から93日経過日から6カ月を経過する日までに契約が満了することが明らかでないこと」)の2要件となっています。改正により一つ目の要件が撤廃され、無期雇用労働者と同様の扱いとなります。無期雇用労働者に対して「雇用期間1年未満の労働者」を労使協定によって除外している場合、それを有期にも適用することは可能です。なお、すでに締結している労使協定において、有期・無期を問わずに除外していた場合、今回の法改正によってあらためて労使協定を締結し直す必要があります。また、入社1年未満の者等を労使協定で除外している場合でも、妊娠・出産の申し出時には個別周知の義務は生じます。しかし、この場合は育児休業の申し出はできないため、意向確認は不要となります。

【労働法制本部】


春季労使交渉・協議の焦点(全6回)
〈1〉連合の春季生活闘争方針
〈2〉経営側の基本スタンス
〈3〉働き方改革深化の重要性
〈4〉日本型雇用システムの見直し
〈5〉育児・介護休業法の改正
〈6〉雇用保険法の改正

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