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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年5月19日 No.3544 デジタル課税 第2の柱「GloBEモデルルール」に関するセミナー

経団連は4月15日、国際的なデジタル課税ルールのうち、第2の柱である「GloBEモデルルール」に関するセミナーをオンラインで開催し、PwC税理士法人から説明を聴いた。会員企業・団体から約120名が参加した。概要は次のとおり。

■ 第2の柱 導入の背景

グローバル化・デジタル化の進展した現代において、一部の多国籍企業の税負担不足が国際的に顕在化した。具体的には、収益の源泉である無形資産、およびそれに伴い発生する所得を軽課税国にある子会社に移転することで、国際的な租税回避を可能にしていた。一部の軽課税国の間では法人税率の引き下げ競争が発生する事態となっていた。

2015年の「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)最終報告書」において、経済のデジタル化に伴う課税上の課題について作業を進めることが合意された。その後、OECDやG20の「BEPS包摂的枠組み」(最終的には約140の国と地域が参加)で議論が進められ、21年10月の包括的枠組み(Inclusive Framework)において、2つの柱から成る対策が発表、合意された。

今回は、このうち、第2の柱と呼ばれるグローバルミニマム課税(GloBEルール)を取り上げる。昨年末のモデルルールの公表に続き、今年3月にはコメンタリ等が公表された。各国において同ルールが導入されれば、各国間で共通の最低法人税率が導入されることとなる。日本でも23年度以降の税制改正で課題となる。

■ 具体的な制度の概要

多国籍企業グループの親会社等のある国は、この制度を導入した場合、軽課税国にある子会社の所得に対し、軽課税国における実効税率と同ルールで定められる最低法人税率(15%)との差分について、課税することができるようになる(トップアップ課税)。しかし、これは企業側からすれば、単に軽課税国における事業所得に対する課税が増えるだけでなく、実務上の処理が複雑化することを意味する。具体的には以下が挙げられ、関係する社での事務的な負荷が増大すると予測される。

  • 同制度は、従来の国別の課税制度とは異なり、会計数値、特に連結会計処理や税効果会計に大きく依拠している。このため、会計上の判断が企業に対する課税額に影響を与える。税務部門だけでなく、会計部門も一体となった取り組みが要求される。
  • 海外子会社の実効税率を計算することが必要になる。海外税制と会計処理のより一層の理解が必要になる。特に各国別のGloBEルールの導入/非導入の状況等を注視する必要がある。
  • 選択適用できる個別ルールが多数存在し、意思決定が必要な場合が生じる。適用開始までの時間的制約も大きい。

◇◇◇

経団連は、今後も税務当局による適正な執行と納税者側が負うべきコンプライアンスコストの適切な調和を見いだすべく、制度設計の簡素化や納税者の実務の予見可能性が損なわれることのないよう留意しつつ、執行に関する各国の一貫性を確保することなどをOECDに対し要望していく。

【経済基盤本部】

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