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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年5月26日 No.3545 DXやGXにおける日スイス連携の可能性 -メーダー・スイス経団連会長一行と懇談

左から東原副会長、メーダー・スイス経団連会長、佐藤委員長

経団連の東原敏昭副会長、佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、清水章同企画部会長は4月19日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のクリストフ・メーダー・スイス経団連会長およびスイス経済界代表一行と懇談した。スイス側の発言概要は次のとおり。

2009年の日スイス経済連携協定(EPA)締結以降、日スイス間の貿易投資は拡大傾向にある。日本と同様に、スイス経済界も自由貿易にコミットしており、今後、農産品やデジタルといった分野で、EPAの現代化を期待している。

貿易投資のほか、気候変動やデジタル化など世界共通の課題解決に向け、日本とスイスの協力拡大の余地は大きい。両国は、ともに50年カーボンニュートラル達成を目標として掲げており、エネルギー分野で世界トップクラスの技術を誇る。日スイスが、研究開発における技術連携を推進し、気候変動問題に取り組んでいくことが求められる。脱炭素化に向けては、中長期的な視点に基づく政策だけでなく、途中の移行段階における技術の研究開発がカギとなる。現在、再生可能エネルギーについて、太陽光発電や水力発電に議論が偏っている印象がある。効率的に脱炭素化社会を実現するためには、広い視野を持って、さまざまな技術の開発を進めることが肝要である。スマートグリッドなど、グリーントランスフォーメーション(GX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)を組み合わせることにより、エネルギー効率を向上させていく。

カーボンニュートラルという野心的な目標を世界全体で達成するためには、日スイスによる取り組みだけでは限界があり、国際連携が不可欠である。最先端技術の普及やベストプラクティスの共有を進めながら、第三国に排出削減努力を働きかけていくことが重要である。現在、EUをはじめ、排出権取引や炭素国境調整メカニズムの導入など、政府による環境規制の強化が進められている。しかし、スイスとしては、企業に対しインセンティブを与えながら、環境問題に資する自主的な取り組みを促す仕組みの方がより実効的だと考える。両国共通の課題解決に向け、技術面における協力だけでなく、政策面においても、日スイス間のさらなる連携強化を期待している。

【国際経済本部】

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