Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年6月30日 No.3550  訪シンガポールミッションを派遣 -連携と協創による持続可能な社会の実現に向けた日星連携の重要性を確認

貿易産業省との意見交換

シンガポールシティーギャラリーを視察

経団連は、アジア・大洋州地域委員会(伊藤雅俊委員長、原典之委員長)ならびにASEAN経済連携強化部会(田中秀幸部会長)において、2021年6月に公表した提言「新時代の日ASEAN関係」に基づき、わが国とASEANとの経済関係のさらなる拡大と深化を実現すべく、同年11月に駐日ASEAN10カ国大使との政策対話を開催するなど、各国への働きかけを継続している。

今般、ASEANとのさらなる連携強化の一環として、特にデジタルとグリーンの分野において世界をリードし、経済成長を遂げながら持続可能な社会の構築を進めるシンガポールに、5月30日、ミッション(団長=田中部会長)を派遣した。わが国との連携・協創に向けた先進的な取り組み等について、都市再開発庁、貿易産業省、シンガポール経団連といった政府・経済団体関係者との政策対話、および関係施設等の視察を実施した。

■ デジタル技術も用いて国土開発を計画的に遂行

都市再開発庁は、中長期的な視座からシンガポールの国土の開発・利用・売却に関する計画立案を所掌し、歴史的建造物を保存しつつ現代的な国土開発を推進している。キャロライン・セー専門人材・産業局長とヨン・ジア・カン部長から、同庁の活動について聴いた。両氏の説明のポイントは次のとおり。

  1. 近年、国土の開発計画の策定にあたり、(1)水の再利用(2)廃棄物のリサイクル(3)交通(4)エネルギー・グリーン――がカギとなっている。
  2. 関係機関による開発計画に関するデータ、人口統計、人々や交通の動きに関するデータなどのビッグデータを活用し、政府全体として調和のとれた計画の策定と実行につなげている。

■ デジタルやグリーンで日星連携の一層の強化を

貿易やエネルギー政策を担当する貿易産業省では、タン・ルイ・ハイ北東アジア局長、タン・レイ・リン国際貿易クラスター局長と懇談。デジタル分野において、日星の考え方は類似していることから、国際的なルール形成の議論において協働する余地が大きいとの発言があった。また、グリーン分野においても、両国はカーボンニュートラルに向けた共通の課題を抱えており、技術面やファイナンス面での連携に期待を示した。さらに、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の受け止めについても意見を交わした。

■ シンガポール経済界は、現下の諸課題に着実に対応

シンガポール経団連では、IPEF、強靱なサプライチェーンの構築、世界的な潮流となっている人権デュー・ディリジェンスへの取り組み、シンガポールのビジネス環境や政治情勢に関して、ラム・イ・ヤン事務総長から、経済界の見解を聴いた。

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経団連は、今後、ASEAN経済連携強化部会や二国間委員会の活動を通じ、連携と協創による持続可能な社会の実現に向けて、ASEAN各国との対話を実施していく。

【国際協力本部】