G7サミット(6月26~28日、ドイツ・エルマウ)に先立ち、6月20日、ドイツ産業連盟(BDI)が主催するG7ビジネス・サミット(B7サミット)がドイツ・ベルリンで開催され、経団連から原一郎常務理事が参加した。
B7サミットでは、ウクライナ紛争を含む地政学的情勢、気候変動・エネルギー政策、保健政策の3分野についてパネルディスカッションが行われた。その後、ドイツ連邦首相府でオラフ・ショルツ首相を表敬訪問し、G7への共同提言を手交した。概要は次のとおり。
■ B7サミットの模様
(1)地政学的情勢
不透明感がますます高まる現下の国際情勢において、ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず国際秩序全体にとって、歴史的な転換点となり得る。G7の連携を一層強固にし、民主主義的価値の意義をあらためて示すとともに、エネルギーや食料の安定供給を含め、強靱なサプライチェーンを構築するために新興国・途上国と連携する。
(2)気候変動・エネルギー政策
ロシア産エネルギーへの依存から脱却を図りつつ、脱炭素化に向けた取り組みと両立させるべく、経済界として取り組みを強化する。G7議長国ドイツが今年中の立ち上げを標榜する「気候クラブ」では、炭素価格に関して、排出原単位も考慮するなど、多角的な観点から、各国との規制標準化に取り組む方針である。
(3)保健政策
ワクチンや治療薬の迅速な開発のためには、イノベーションの基盤となる知的財産保護が不可欠である。また、次なるパンデミックに備えるべく、今般の新型コロナウイルス危機の教訓をもとに、国境を越えてデータを共有する仕組みを構築する。
■ ショルツ首相発言要旨
ショルツ首相は、価値観を共有するG7の結束の重要性、ロシアへの制裁強化やエネルギーにおけるロシア依存からの脱却の取り組み、またG7に加えて新興国・途上国に連携の輪を広げていくことの必要性、気候クラブの立ち上げを含む気候変動対策などについて発言した。
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来年は日本が議長国となり、5月に広島でG7サミットが開催される。経団連はこれに先だってB7サミットを主催する予定である。引き続き各国経済団体や政府と緊密な連携を図り、自由で開かれた国際経済秩序の再構築に貢献していく。
【国際経済本部】