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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年8月4日 No.3555 結節点としての香港の現状と展望 -日本・香港経済委員会

梁氏

経団連は7月11日、日本・香港経済委員会(國部毅委員長)を開催した。ミッションを率いて訪日した梁振英(CY・リョン)第3代香港特別行政区行政長官から、最新の香港情勢について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 世界貿易の中心であり続ける香港

この2年間、デモ、暴動、コロナ禍等の影響で、日本と香港の交流が途絶えていた。今回の訪日の目的は、香港と日本を接続し直すことである。

世界有数のコンテナ港を擁する香港は、依然として主要貿易拠点であり続けている。貨物を荷揚げせずに書類手続きや決済のみを実施するオフショア貿易が盛んであり、貿易総額は香港のGDPの3倍もの規模になっている。また、世界市場を俯瞰すると、中国にとって最大の市場はいまや米国からASEANに変わり、香港にとっても、中国を除けばASEANが最大の貿易相手国となった。日本は、中国と香港を通じたASEAN市場へのアクセスを考慮すべきである。

■ 中国との関係で存在感を発揮する香港

中国政府が発表した第14次五カ年計画では、「香港・マカオにおける競争上の優位性の強化・向上の支援」について、国際的な金融、運輸、貿易センターおよび国際航空ハブとしての香港の地位向上を支援する旨を記述している。金融分野では、香港は中国の一部であり、中国本土の市場の活力を享受できる。また、競争力ある金融システムを有し、国際市場への知識が豊富であることから、香港は世界と中国との重要な結節点としての役割を果たしている。運輸分野では、香港は主要コンテナ港ではあるものの、付加価値の高いビジネスが少ないのが現状である。今後は、海外船舶向けに、船舶登録や仲介業務、リース、保険、船舶購入時のファイナンス等のサービスを拡充し、付加価値の向上に取り組んでいきたい。海運に加えて、民間航空、航空リース等も重要なセクターであり、香港政府は税制優遇策を提供している。

■ GBAで役割を果たす香港

グレーターベイエリア(広東・香港・マカオ大湾区、GBA)に属する中国の主要都市、香港、マカオのGDPを合わせると、韓国と豪州のGDP総額を上回る。香港はGBAにおける地の利もよく、香港の九龍から中国広東省広州市南沙まで高速鉄道によって35分で到着するため、香港を拠点に広州市場に対応することも可能である。

香港のGDPの90%以上をサービス業が占めている。香港企業の多くは、中国本土で製造し香港の外で製品を販売している。つまり、メイドイン香港ではなくメイドバイ香港である。香港の日系企業も同様であり、今後も香港外で製造、販売する事業形態が続く見込みである。GBAは大きな可能性を秘めており、日本企業には関心を持って事業展開の検討を期待する。

【国際協力本部】

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