Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月1日 No.3557  官民一体でインフラシステム海外展開を推進 -「インフラシステム海外展開戦略2025」の追補に関する説明会を開催

森氏

政府は、2020年12月、21年以降5年間のインフラ海外展開の方向性を示す「インフラシステム海外展開戦略2025」を策定し、21年6月には、国際情勢の変化等を踏まえた追補を行った。22年6月3日には、重要政策である「新しい資本主義」を前提に、インフラの海外展開を日本経済の「成長エンジン」とするため、具体的施策の追補を実施した。これは、ポストコロナを見据え、現下の国際情勢の複雑化等に伴う経済安全保障の要請にも応えるものである。

そこで経団連は7月27日、オンライン会合を開催し、森昌文内閣総理大臣補佐官から追補の内容について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 環境変化を踏まえ、重点戦略を明確化

今回の追補にあたり、新型コロナウイルスの影響、グリーンやデジタル等の新潮流、新しい資本主義の実現や経済安全保障の要請等の環境変化を踏まえ、重点戦略である3本柱を一層明確化した。第1に、ポストコロナを見据えたより良い回復の着実な実現である。国際協力銀行の新融資制度創設・先進国業務範囲の拡充や、新型コロナ等の影響を踏まえた貿易保険法改正等により、海外におけるサプライチェーン等のリスクへの対応力を強化する。また、デジタル技術を活用したソフトインフラの事業化への支援、スマートシティの案件形成に向けた支援等により、デジタル変革による課題解決と中小企業・スタートアップ支援を実現する。さらに、5Gの海外展開、日本式コールドチェーン等の国際標準化の推進など、国際標準への対応とその策定過程に積極的に関与していく。

第2に、脱炭素社会に向けたトランジションの加速である。アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現に向けて、技術開発、国際共同投資・資金調達、技術標準、カーボンクレジット市場等にかかるアジア諸国への協力等を着実に行う。また、二国間クレジット(JCM)パートナー国の拡大、JOGMEC(注)の機能拡大、ダム再生など気候変動適応・緩和への貢献により、日本の脱炭素技術等の海外展開を支援する。

第3に、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を踏まえたパートナーシップの促進である。運用・保守(Operation & Maintenance、O&M)事業参画支援、海底ケーブル整備、国際開発金融機関との連携など、重要地域への支援と国際連携を推進する。

■ ポストコロナを見据え、官民一体で案件形成を

新型コロナの世界的な感染拡大により、首脳外交や企業同士の交流がままならず、継続中のプロジェクトの遂行や新規プロジェクトの組成に影響が生じている。今後は、感染者数の推移やわが国の水際措置の緩和等にも留意しつつ、インフラシステムの海外展開が拡大していくことを期待している。政府が掲げるさまざまなイニシアティブのもと、各国・地域のニーズやプロジェクトを掘り起こし、海外においても官民連携を重視して取り組んでいきたい。相談等は各省庁や内閣官房経協インフラ室まで連絡してほしい。

(注)独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(法改正後は独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構)

【国際協力本部】