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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月8日 No.3558 むつ小川原開発推進委員会2022年度総会を開催 -日本の原子力政策の現状と展望

貴田氏

泉澤委員長

経団連のむつ小川原開発推進委員会(泉澤清次委員長)は8月1日、東京・大手町の経団連会館で2022年度の総会を開催した。

むつ小川原開発地区(青森県六ヶ所村)は、総合的なエネルギー・研究開発拠点として、原子力、再生可能エネルギー等の関連施設が立地している。

総会では、同地区における最新の開発状況と、同委員会の2021年度活動報告・収支決算および2022年度活動計画・収支予算が報告された。

これに先立ち、資源エネルギー庁の貴田仁郎原子力立地・核燃料サイクル産業課長を来賓に迎え、核燃料サイクルと革新炉開発を中心に、日本の原子力政策の現状と展望について聴いた。説明の概要は次のとおり。

■ 原子力政策全体を取り巻く動き

今般のロシア・ウクライナ情勢に伴い、国内外において、原子力の重要性が再認識されている。

国外では、英仏等をはじめ、原子力を重要な電源と位置付け、野心的な投資を計画している。

わが国でも、電力需給の逼迫等も背景に、22年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」や「経済財政運営と改革の基本方針2022」にも、原子力の最大限活用が盛り込まれた。今後、安全性を大前提に再稼働を着実に進めるとともに、「GX実行会議」等の場を中心に、わが国の原子力の活用の方向性について議論を深めていきたい。

■ 核燃料サイクル

核燃料サイクルは、使用済燃料から、核分裂していないウランやプルトニウムなどを回収・加工し、再び燃料に使う仕組みである。高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減、資源の有効利用の観点から、わが国は核燃料サイクルの推進を基本方針としているが、乗り越えるべき課題は多い。

まずは、核燃料サイクルの重要な柱である六ヶ所再処理工場・MOX燃料(注1)工場の竣工を着実に進めるため、事業者が中心となり、新たな規制基準への適合性審査に適切に対応していく必要がある。

また、核燃料サイクルを安定的に実施していくためには、使用済燃料の貯蔵対策も欠かせない。現時点ですでに、貯蔵可能な容量の約8割の水準に達しており、政府・業界が一体となり、貯蔵容量の拡大を進めていきたい。

国際的な信任を得ながら核燃料サイクルを実施していくには、利用目的のないプルトニウムを持たないとの原則のもと、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理することも重要である。プルトニウムの回収と利用を適切に管理しつつ、国も前面に立ち、プルサーマル発電(注2)を加速していく。

■ 革新炉開発

NEI(原子力エネルギー協会)の分析によると、50年時点で、小型モジュール炉(SMR)等の革新炉が、原子力のマーケットシェアの4分の1を占めると想定されている。

諸外国では、ロシアや中国を筆頭に、革新炉の開発が進んでいる。また、米英等においても、大型軽水炉に対する支援とあわせて、SMRや高温ガス炉といった革新炉に対して、大規模な財政措置が講じられている。

わが国としては、第6次エネルギー基本計画において、さまざまな革新炉の可能性を追求していくことを明記しており、革新炉の技術開発にかかる支援メニューを用意している。

現在、諸外国の野心的な動きも踏まえ、日本としての革新炉開発の方向性・支援のあり方をあらためて検討している。先般、総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループが、今後の革新炉開発の方向性に関する議論の内容を取りまとめた。炉型ごとの開発のロードマップを提示したところであり、今後、さらなる具体化を図っていきたい。

(注1)ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の略称。原子炉の使用済核燃料中に含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、ウランと混ぜた核燃料

(注2)MOX燃料を既存の軽水炉で燃料として活用すること

【環境エネルギー本部】

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