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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月15日 No.3559 習近平政権の対台湾政策と日本 -東亜経済人会議日本委員会

福田氏

経団連は8月22日、東亜経済人会議日本委員会(飯島彰己委員長)をオンラインで開催した。法政大学の福田円教授から、米国のペロシ下院議長の台湾訪問からみる習近平政権の対台湾政策と今後の展望について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ ペロシ下院議長台湾訪問の衝撃

今般のペロシ下院議長の台湾訪問は、7月28日の米中首脳会談の直後であった。加えて、議会トップの地位、議長自身の厳しい対中姿勢などの理由からも国際的な注目を集めた。台湾と米国は、かねて議員間交流を行ってきたが、その後の中国の対応に強い影響を与えた。

習政権は、台湾を取り囲むように演習を行うことで軍事的威圧を加速させ、米国の援護を許さない姿勢と台湾を封鎖する能力を誇示した。また、対台湾輸入禁止品目リストを作成して経済制裁を行い、サイバー攻撃なども実施した。これらは、実効性よりも台湾への警告および米国など関係諸国への牽制を強く意図したものであった。

■ より強硬な習政権の対台湾政策

習政権の対台湾政策は、武力行使を排除しないと繰り返すなど、胡錦濤前政権に比べて強硬である。中国共産党第19回全国代表大会の政治報告、「台湾同胞に告げる書」発表30周年の際に打ち出した「習5点」、ペロシ議長の台湾訪問を受けて急遽公表したとみられる白書「台湾問題と新時代中国統一事業」の随所に、一方的な現状変更を模索する姿勢が表れている。同白書に目新しさはみられないものの、外部勢力の干渉を強く牽制したこと、「一つの中国」原則が国際的に認められている根拠として国連決議2758号を強調したことなどが特徴である。習政権は、中国の対台湾政策に対する国際社会の賛同を得るべく、国際機関への働きかけを強めてきた。例えば、世界保健機構(WHO)は、蔡英文総統就任後、総会への台湾のオブザーバー参加を認めておらず、中国の試みが成功している。

■ 今後の展望と日本の対応

習政権は、台湾統合のため、長期的には武力行使に打って出ることも考えられる。他方、中国はロシアによるウクライナ侵略や今般の台湾周辺における軍事演習で明らかになった軍事的なハードルの高さを考慮し、すぐに武力行使に出ることはなく、中期的にも台湾や米国への牽制を目的とした軍事演習や示威活動を継続するだろう。今後は、中間線をまたぐ軍事演習の常態化およびそれにあわせた政治的働きかけや、台湾統合の正当性について、より多くの国から支持を得るための動きを強化していくとみられる。

日本は台湾有事に備え、自らの防衛力や抑止力を高めることが重要である。日台関係は、軍事面よりも経済や政治において強みを活かすことができる。日本企業は、萎縮せずに台湾での企業活動を行うことが必要だろう。また、台湾有事は日中経済関係の崩壊につながりかねないことを発信することが、中国への抑止力になるだろう。

【国際協力本部】

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