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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月15日 No.3559 米国中間選挙の展望等に関する懇談会を開催 -パーヴェン・Akin Gump法律事務所パートナーらと意見交換/アメリカ委員会連携強化部会

パーヴェン氏

トレイナー氏

経団連のアメリカ委員会連携強化部会(豊川由里亜部会長)は8月30日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。Akin Gump法律事務所のスコット・パーヴェン弁護士とクリストファー・トレイナー弁護士から、米国の中間選挙の展望や環境・エネルギー政策等について説明を聴くとともに意見交換した。両氏による説明の概要は次のとおり。

■ 中間選挙の展望

2021年9月中旬以降、バイデン大統領の支持率は45%を下回る状態が続き、低迷していた。歴史的に、大統領1期目の中間選挙は、9・11テロ事件の翌年に行われた02年の中間選挙を除き、野党が有利になる。しかし、連邦最高裁でこれまで認められてきた人工妊娠中絶の合法性を覆す判決が出たことを契機に、8月22日のバイデン政権支持率調査では、中絶の権利を擁護してきた民主党支持が増加したことが主な要因となって、わずか1週間で8ポイント上昇という驚異的な変化がみられた。保守的なカンザス州では、8月2日、州憲法から中絶の権利を保障する文言を削除するかどうかを問う住民投票が行われたが、開票の結果、中絶の権利は維持され、そこでも民主党の優位が示された。

下院では、民主党221議席・共和党212議席と民主党がやや優勢である。現在下院は空席が2議席あり、これは共和党が確保すると予想されている。このため改選議席のうち4議席を確保すれば、共和党が下院の主導権を握る。引退予定の下院議員51人のうち32人が民主党であることも、共和党が下院の過半数を得る可能性が高い要因となっている。ただし、中絶問題も踏まえれば、接戦が予想される。

上院は民主・共和両党とも50議席で同数である。共和党の上院議員5人が引退する一方で、民主党は1人しか引退しない。さらに、共和党に有力な候補者がいないことを考えると、上院は民主党優位のままになると予想される。

■ インフレ抑制法、インフラ許認可の改革

バイデン政権は8月16日、気候変動対策や健康保険への補助金などの支援策を盛り込んだ「インフレ抑制法」を成立させた。同法は、ビルド・バック・ベター法案を大幅に縮小したものである。気候変動対策を盛り込んだ法律であると説明されるが、温室効果ガス排出を直接規制する条項は含まれていない。一方で、クリーン電力に対する税額控除や助成金などを規定し、再エネ発電等の事業者に課される税金を控除することで、再生可能エネルギーの導入促進を目指している。製造業支援も手厚く、太陽光パネル、風力発電、水素、CCS(二酸化炭素回収・貯留)、蓄電池等の生産や、重要鉱物の加工・製造に税控除を認めている。

ビルド・バック・ベター法案に一貫して反対していたマンチン議員は、インフレ抑制法支持と引き換えに、石油やガスのパイプラインなどの大型インフラプロジェクトの許認可改革法案を成立させることを要求した。このようなインフラプロジェクトは環境保護団体などからの反発や官僚的な規制により、長年にわたって停滞を余儀なくされている。議会は今秋に、許認可プロセスを迅速化・合理化する法案の成立を目指している。

【国際経済本部】

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