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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月6日 No.3561 第23回日本ブラジル経済合同委員会を開催

バルトロメオ氏(左)と安永副会長

経団連の日本ブラジル経済委員会(安永竜夫委員長)は9月13、14の両日、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第23回日本ブラジル経済合同委員会を対面とオンラインのハイブリッド形式により開催した。感染対策として対面での参加人数を制限し、ブラジル側から、ホブソン・ブラガ・デ・アンドラーデCNI会長、エドゥアルド・バルトロメオCNIブラジル日本経済委員長ら訪日代表団約40人が、また日本側からは、三村明夫日本商工会議所会頭、小林麻紀外務省中南米局長ら約30人が東京・大手町の経団連会館に参集した。オンラインでは、日本側から約80人が出席した。同会合のテーマごとの議論の概要は次のとおり。

■ 日伯の経済情勢および産業動向

日本側から、日本経済の先行きは、財政赤字、低成長等に加え、米中問題、ロシア―ウクライナ問題等の地政学的リスクにより大変厳しい一方、日伯両国は人口構成、産業構造、地政学リスク等の経済前提が異なることから相互に補完しあう関係になり得ると考えられ、環境分野をはじめ、今後も協働のポテンシャルは高いとの説明があった。ブラジル側からは、インフラ整備の促進に向けた民間企業の参入促進への期待とともに、労働生産性の向上に資する研究開発およびデジタル化に即した人材育成の強化の必要性等を示した。

■ 豊かなブラジル~資源・食料安全保障での日本との連携に期待

日本側から、鉱物資源や食料生産の豊富なブラジルが、世界の資源や食料安全保障に果たす役割は重要と指摘。日本企業の技術・ノウハウ等を活用したブラジルでの持続可能で環境に配慮した資源開発や食料生産への具体的な取り組みを紹介した。ブラジル側からは、ブラジルが世界的な再生可能エネルギーやバイオ燃料、そして食料の供給国として、世界のエネルギーおよび食料の安全保障に貢献し得るとの説明があった。また、再エネや水素エネルギーの利用拡大、農業におけるIoT、ドローンなどのデジタル技術の活用等の先進事例を紹介した。

■ 環境分野の日伯産業協力に大きな潜在力

日本側は、日伯連携のもと、温室効果ガス排出量のネット・ゼロを目指す手段としてJCM(二国間クレジット制度)の活用に期待を寄せたほか、鉄鋼業界における脱炭素化への取り組みを紹介した。ブラジル側は、アマゾンにおける森林保全と地域ビジネス促進の両立に向けた取り組みや、サトウキビを原料としたグリーンポリエチレンについて紹介した。また、カーボンニュートラルは一社だけでは達成不可能であり、取引先も含めた企業間のパートナーシップが不可欠であるとの認識を示した。

■ 日メルコスールEPA等を通じたビジネス環境改善は必須

ブラジル政府が、昨今の会社設立手続きの簡素化や特許承認までの期間短縮等の法制度改善事例を説明。引き続き税制等の改善に取り組む考えを示した。日本側は、日伯両国間のさらなる貿易投資の拡大のため、複雑で煩雑なブラジルの法制度の改善や日本メルコスールEPAの早期締結が不可欠であると指摘した。

◇◇◇

これらの議論を踏まえ、経団連とCNIは「日伯経済関係の推進に向けた共同声明」を採択した。同共同声明では、国際的なビジネス環境が厳しさを増すなか、自由で開かれた国際経済秩序の再構築に向けて日伯両国が協力していくことが必要であり、日本メルコスールEPAの早期締結に向けて、日伯両国政府は直ちに行動するよう求めている。

同共同声明は、会合翌日の9月15日に経済産業省で開催された「日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会」(経済産業省とブラジル経済省の共催)において、経団連から報告し、両国政府のフォローアップを要請した。

【国際協力本部】

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