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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月27日 No.3564 多様性のなかでリーダーにできること -第26回リーダーシップ・メンター・プログラムを開催/筒井審議員会副議長が講演

筒井副議長

経団連は10月5日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、筒井義信審議員会副議長(日本生命保険会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第26回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。71人の女性役員が出席し、意見交換した。講演の要旨は次のとおり。

■ リーダーに求められる要件

生命保険は相互扶助の仕組みであり、近代的な生命保険は明治時代にもたらされた。戦後、生命保険業界も苦難を迎えたが、戦争で配偶者を失った多くの女性が営業職員として活躍し、今日の高い普及率につながった。現在も、当社職員の9割が女性であり、女性活躍推進はダイバーシティ推進の中核といえる。

私の社長時代は、自己資本の強化とグループ事業の拡大に取り組んだ。この間、(1)長期ビジョン(10年先の将来像から日常の執行へバックキャスト)(2)意思決定(コンセンサスをつくったうえで決断)(3)コミュニケーション(社内の声に耳を傾け一体感を醸成)――の3点を特に心がけた。

ビジネスリーダーに求められる要件として、(1)公正無私(2)使命感・責任感(3)発信力(4)決断力(5)統率力(6)歴史観(7)謙譲の精神(8)忍耐力――を挙げたい。ありきたりと思われるものもあるが、リーダーは精神性が礎と考え、あえて掲げている。こうした要件を念頭に、次世代のリーダーを見いだしたり、自分自身が継続的に努力したりすることが大切である。「公正無私」については、「無私」に力点を置きたい。リーダーは私心を捨て、常に会社や職員の行く末を思う、いわば自己犠牲の境地に立たねばならない。完璧な無私はあり得ないが、私利私欲や自身のこだわりにとらわれないよう、一歩でも近づく努力が必要である。「発信力」については、リーダーは発する言葉がすべて。話すスピード、抑揚、目線、服装を含め、発するもの全体が一つの言葉となって発信されていく。また、理屈ではなくキーワードが聞き手の心に残るので、そこに力点を置くことが重要。「歴史観」については、われわれは過去の上に未来をつくっていく。過去を見つめ、未来を洞察して変化に対応していく、という意味において、リーダーは過去をつくった先人に常に敬意を払う必要がある。

■ 本当の多様性とは

多様性が進むということは、裏を返せば意見が採用されない人が出てくるということ。その人たちに対しリーダーができることは、なぜこの方法を取ったか、なぜあなたの意見は採用されなかったかをしっかり説明することである。変化に対応できる人を一人でも多くつくるためには、変化に対応できない人の意見もよく聴き、よく説明することが肝要である。それが本当の意味での多様性だと考える。

◇◇◇

講演後、リーダーシップやその心構えなどについて活発な意見交換が行われ、筒井副議長から多岐にわたるアドバイスがあった。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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