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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年11月3日 No.3565 バーガム・ノースダコタ州知事一行と懇談

バーガム氏

経団連のアメリカ委員会(早川茂委員長、植木義晴委員長)は10月6日、米国ノースダコタ州のダグ・バーガム知事一行の来日の機会をとらえ、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。バーガム知事をはじめ同州の農業や経済担当の政府関係者、主要企業の代表者らが参加した。バーガム知事による説明の概要は次のとおり。

ノースダコタ州の国土面積は、日本の半分程度であり、ここに約78万人が居住している。州の約90%を牧場や農地が占めており、この割合の高さは米国随一である。また、失業率は低く、1人当たりの所得は高い。出生率が高いため、州民の平均年齢は若い。勤勉な州民性でも知られており、1人当たりの1日の労働時間の長さは全米一である。

ノースダコタ州の投資先としての第1の魅力は、豊富なエネルギー資源である。州内で使用される2倍の量の電気がつくられており、その3分の1が風力由来であるほか、再生可能エネルギーベースの電力量はここ10年で3倍にまで増加している。また、州西部には、多数の天然ガス採取施設と大規模な油田があり、州内で採取できる天然ガスの約85%、石油の約90%を国外に輸出している。日本など同盟国への供給をさらに拡大したい。排出された二酸化炭素について、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)の技術を使って回収し、地下に貯留することが可能な深い地層を多数有している。さらに、次世代のエネルギー源として、水素生産にも積極的に取り組んでいる。

こうした背景から、ノースダコタ州は、2030年までに、州としてカーボンニュートラル(CN)の達成が可能となる見込みである。CNの達成には、規制的な手法を採るのではなく、イノベーションを加速することが重要であり、官民連携の研究開発や、設備投資を進めている。

また、豊富なエネルギー資源は、さまざまな事業機会につながっている。例えば、テクノロジーと農業を融合させる観点から、温室栽培のほか、バイオ燃料を活用した効果的な農業にも取り組んでいる。加えて、豊富なエネルギー源を土台に、安価で安定した電力基盤を確保できることから、エネルギーや環境等に関するリサーチセンターやデータセンターも数多く設置されている。高速インターネットの接続率は米国有数の高さを誇る。こうした要因から、事業環境のフレンドリーさでも全米第1位に輝いている。

世界は今、ロシアのウクライナ侵略、中国・台湾問題、北朝鮮のミサイル発射など、さまざまな不安定要因を抱えている。こうした状況にあっては、エネルギー安全保障、食料安全保障を確保することの重要性が、これまで以上に高まっている。ノースダコタ州は、豊富なエネルギー資源と食料を輸出することで、日本をはじめとする同盟国の経済安全保障の確保に貢献したい。

【国際経済本部】

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